中国に住んでない僕らが WeChat Pay を有効化して使う方法 (中国大陸の銀行口座不要)
【更新履歴】
- 2018/12/26 注意事項の追加 (決済上限、情勢の変化) 、リンクの追加
【注意①】本来中国大陸*1の居住者向けにサービスされている WeChat Pay を非居住者の外国人が勝手に使う方法を解説した記事です。残高の損失を含め、あらゆるリスクがあることを理解し、自己の責任でお楽しみください。筆者は一切の保証をしません。
【注意②】この記事で紹介する「海外のクレジットカードで WeChat Pay をアクティベートする」方法は公式の方法ではないため、突然使えなくなるリスクがあります。(2018年も2回ほど同様の事象を確認してます) WeChat Pay における保証された使い方は「中国大陸で開設した本人名義の銀行口座を紐付ける」方法だけです。
今や中国はモバイル決済の最先進国。コンビニやスーパーはもちろん「目の前の人とQRコードでお金のやりとりができる」おかげで、屋台や個人タクシーでもスマホひとつで決済できる。
中国のモバイル決済だとアリペイ(Alipay, 支付宝[zhī fù bǎo]) が有名で、日本でもローソンや免税店、家電量販店で青いステッカーを見たことがある人も多いだろう。しかし、これを使うには原則として中国大陸の銀行口座が必要なので、中国に定住してない人には難しい。
一方、WeChat のペイメント機能である WeChat Pay (微信支付[wēi xìn zhī fù]、ウェイシンジーフーと発音する) は、中国大陸の銀行口座がなくとも、日本のクレジットカードで登録できる。
今回、WeChat Pay を使えるようにするまでの手順を紹介する。記事の執筆にあたり、実際に有効化するまでの手続きをスクリーンショットに収めて提供してくださった @kon_yu 氏に感謝の意を表する。
また、WeChat Pay はオフラインでは使えないので、中国に渡航する際は通信環境を用意しよう。中国で使える SIM や Wi-Fi ルーターの話はこちら。
WeChat で誰かから送金を受けとると Pay 機能が有効になる
WeChat Pay を使い始めるには、まず WeChat をインストールし、チャット機能を使えるようにする。その上で、WeChat Pay が既に使える人とチャットし、送金機能でお金を送ってもらう必要がある。
1元(16円) でも0.1元でも大丈夫。届いたらオレンジ色の吹き出しをタップ。
「領収書を確認」を押すと、本人確認を要求されるダイアログが出るので「Verify」を押す。本人確認の手続きは後述する。
送金してくれる人いないんだけど……
先に書いた通り、WeChat Pay を有効化すべく本人確認のプロセスに入るには、誰かから送金を受ける必要がある。周りにWeChat Payを使える人が誰もいない場合はどうすればいいだろうか、その場合は諦めることを推奨する。
WeChat Payを仮に有効化できたとしても、大陸の口座を持たない我々が WeChat Payにチャージする手段は、チャットか対面での送金機能を使うしかない。(日本のクレジットカードや銀行口座からはチャージできないし、Suicaのようにチャージできる機械もない)
既にWeChat Payの残高を持っている友達がいれば頼んでもよいし、中国国内であればホテルの受付や店員に現金を渡せば手伝ってくれることもある。
このように、およそ観光客が使うにはハードルが高いので、生半可な気持ちで始めるのはオススメしない。
日本のクレジットカードで本人確認できる
本人確認のフェーズでは中国大陸の銀行口座の番号を求められるが、2018/12/26 時点では日本国内で発行された多くのクレジットカードを入力することでも手続きを進められる。
前述の送金受取からの本人確認プロセスで「添加银行卡」(Add Bank Card) を選ぶ。
次の画面で16桁のクレジットカード番号を入力する。VISAあるいはMaster Cardが通りやすいが、駄目なカードもある (登録時に失敗する) ので、うまくいかないときはこの画面に戻って別のカード番号を入れる。
現時点で WeChat Pay に登録した日本のクレジットカードで買い物やチャージはできない。あくまで本人確認にしか使われないので請求があがることもないはず。とにかく通過すればよいという気持ちでいよう。
次の画面では、カードのセキュリティコード(裏面3桁)、有効期限、氏名、地域(国/都道府県)、住所、電話番号、メールアドレスを英語で入れる。
デタラメを入れてしまうと何かトラブルがあったときに困りそうなので正直に入力したが、ここに記載した連絡先にコンタクトがあったことは一度もない。
ここで次に進んだときに「System Busy」などと表示された場合、入力したカードは対応してない。別のカードを試してみよう。(同じカードでも日によって使えたり使えなかったりすることも何故かあるが。)
支払いパスワードは絶対に忘れないように
正しく登録できた場合、6桁の支払いパスワード(暗証番号)を決める画面が出てくる。
ここで入力した値は買い物や送金で使うことになる。忘れた場合にリカバリするには外国人にとって極めて困難な手段しか用意されてない (中国大陸の身分証カードを出すとか) ので、絶対に忘れないように気をつける。
以上の手続きで WeChat Pay を有効にすることができる。
QRコードをスキャンして支払う
さて、WeChat Payでの支払い手順を軽くみてみよう。まず代表的な支払い方は「QRコードのスキャン」だ。
店員に 「微信支付」(ウェイシンジーフー) と言うと QR コードを出してくれる。(レジであればウェイシンだけでもまず通じる)
アプリ右上の[+]→[QRコードのスキャン]でカメラが立ち上がるのでQRコードを読み取ろう。
店によっては金額を自分でいれる必要があることもある。金額が聞き取れない場合はスマホを店員に渡せば入力してくれる。
最後に6桁の支払いパスワード(暗証番号)を入れれば完了だ。
飲食店では、テーブルごとに異なるQRコードが貼り付けられていて、注文から決済までスマホ上で完結するような仕組みもある。オンラインとオフラインをシームレスにつないでいて大変エキサイティングだ。
大規模チェーンではバーコードを読み取ってもらう
ファミリーマート、ケンタッキーやマクドナルド、イオンなどの大規模なチェーン店ではアプリで生成したバーコードを店員に読み取ってもらうこともある。
[+]→[マネー]でバーコードが表示される(初回は確認画面や暗証番号の入力がある)ので、それを店員に見せてバーコードリーダーで読み取ってもらおう。Suica顔負けの爆速で決済がなされる。
店員がバーコードリーダーをスマホに向けると、瞬時に決済される。
[+]の中にマネーが見当たらない場合は、 [本人]タブ→[ウォレット]→[マネー]でも遷移できる。(WeChat Pay登録直後は表示されないことがある)
なお、日本国内でも免税店や家電量販店などで「WeChat Pay で支払えます」の看板をみかけることがあるが、この手順でつくったアカウントの残高では支払えない。 (日本など、中国大陸以外の地域で展開している WeChat Pay の加盟店は、中国国籍で登録したアカウントでしか支払えない) 中国大陸に渡航したときに使おう。
お金を受け取ろう
WeChat Payの機能でいちばんぶっ飛んでいるのが、先ほどのマネーの中にある「お金を受け取る」機能だと思う。
[+]→[マネー]→[お金を受け取る]で、あたかも商店主のように、目の前の人からお金を送ってもらうことができる。
このスクリーンショットは実際に機能するもので、これをスキャンして金額を指定すると僕にお金が届く。
先ほど「中国大陸の口座がないとチャージができない」といったが、ホテルや街中の人に現金を渡してこの画面を見せ「この現金でWeChat Payにチャージしてほしい」と頼めば、まさに対面チャージができてしまう。
深圳(深セン)では、タクシーも屋台のおばさんも当たり前のようにこの機能を使ってお金を受け取ってくれる。これをもって「財布のいらない街、深圳」が実現している。
注意事項
クレジットカードの登録がうまくいかない場合
- 他の手持ちのカードを試す。ただし1日に3枚ぐらいまでにしたほうがいい。 (あまり試しすぎない)
- VISA, MasterCard が比較的通りやすい。
- バンドルカードや Kyash でも認証できるので、手持ちのカードが足りなければこれらで試してみる。
決済上限について
- 累計で1,000元を利用したところでそれ以上の決済ができなくなる人をみかけた (2018年7月頃に報告があった)。
- 発動する条件は不明だが、おおよそ「WeChat をこれまで使ってこなかった」「WeChat Pay をアクティベーションして直後に大量の送金をした」人がロックされている。はじめのうちは少しずつ決済する、WeChat の会話機能も適度に使うことで回避できると思われる。
- 既に 1,000 元を超えて決済している人がひっかかることはなさそう。
カードは登録できたけど決済できない
- 2018年11月下旬〜12月中旬に「クレジットカードは登録できたけど、送金/支払い画面で追加の認証を求められてしまう」事象があった。今後も起きるかもしれない。
- 金融商品、外貨決済 (日本や香港などの加盟店)、顔認証決済は中国人 (中国大陸の政府が発行する身分証を登録した人) しか使えない
それでもうまくいかない場合、他のサイトのまとめも見てみるとよいかもしれない。
Alipay (支付宝) を試してみるのも一つの手。
おことわり
対面決済やQRコードを用いた便利なサービスが体感できる WeChat Pay だが、基本的には中国大陸に住む人向けのサービスであり、旅行等で訪れる外国人は対象にしていない。
したがって、いつ残高が使えなくなるかわからないし、トラブルがあったときも自分で解決しなくてはならない。よって、最悪「呑み込まれてしまっても泣かない」程度のお金でやるべきだと思う。この記事をもとにして行動した結果、何がおきても筆者は責任をとれない。
そんなハードルを超えてでも、独自の進化を遂げる中国のモバイルペイメントは一見の価値があると思う。