NHKの放送受信契約を解約する

海外に転居することになったので NHK を解約することにした。

NHK の番組は好きなので (特にEテレの番組は VOD や YouTube でも見かけることが少なく、子育てに重宝している) 契約を継続したかったが、日本国外での視聴は想定されていないのでやむなく解約することに。

海外転居に伴う解約のしかた

解約の条件は以下の通り。

  • 転居時に家族が残る場合は解約できない (残る人に契約者を変更する)
  • テレビを廃棄する必要はない (テレビを残置して立ち去ってよい)
  • 解約手続きには3週間ぐらいかかる
  • 解約手続きは転居日 (出国日) の前月1日から可能 

この手続き、インターネットからではできず、NHKふれあいセンター (0120-151515) に電話をして転居の旨を伝えて書類を手に入れ、NHK の営業センターに返送する必要があるが、

  • 契約はインターネットで可能なのに、解約は電話をする必要がある
  • 解約に必要な書類は NHK から送ってもらう必要があり、国内への郵送しか受け付けていない (出国後に手続きをしようとすると詰む)
  • コールセンターが混雑していて繋がりにくい

という問題がある。「放送受信契約解約届」を Web サイトからダウンロードできるようにしておくだけでよいと思うのだが、そういった対応もない。

幸いなことに、申込書などの書式には著作権がないとのことなので、NHKの放送受信契約解約届を公開することにした。

 

PDF はこちらからダウンロードできる。

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NHK放送受信契約解約届

この「放送受信契約解約届」に必要事項を記載し (事由欄には「xx年xx月xx日に世帯全員が国外転居する」と書く)、管轄の営業拠点に普通郵便で郵送すればよい。

※ 営業拠点は「営業センター」または「放送局営業部」で地域によって異なる。北海道、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府兵庫県、福岡県は行政区内に複数の営業拠点がある。管轄がわからない場合は電話で確認したほうがよい。

契約残余の返金について

前納している場合、残金は返ってくる。

口座引落で支払をしていて、引落口座と同じ口座で返金を受け取れる場合は特に追加の手続きはいらないが、クレジットカードやコンビニで払っている場合、あるいは口座引落であっても出国のタイミングで銀行口座を閉鎖する場合は返金方法を指示する必要がある。

  • 受信契約者の氏名、住所、電話番号
  • 記入者の氏名、電話番号、受信契約者との続柄 (本人、息子など)
  • NHK のお客様番号
  • 返金方法 (銀行振込と郵便為替が選べる)
  • 銀行振込の場合: 振込先の金融機関名、支店名、科目 (普通or当座)、口座番号、名義 (ゆうちょ銀行の場合は記号番号)
  • 郵便為替の場合: 郵便為替の送付先と、郵便局に出向いてお金を受け取る人の氏名

上記を記入したメモを放送受信契約解約届に同封して送ればよい。

解約時に立会や廃棄証明は必要?

国外転居が理由の場合、自己申告だけで手続きが完了する。廃棄証明はいらないし、そもそも廃棄する必要もない (テレビを残置して出国してもよい) からテレビの廃棄状況を確認しに来ることもない。

NHKを見ないから解約したい。この紙に「国外転居」と書いて郵送しちゃえばOK?

国外転居を偽って解約することはオススメしない。

手続き上は解約できてしまうと思うが、NHKの地域スタッフが定期的に巡回しており、当該居室に灯りがついているのを確認されると訪問が来るとおもう。

解約書面にも「虚偽がある場合は届出時に遡って解約を無効にすることがある」と書いてある。

国外ではないけど住まなくなったので解約したい、この書類でOK?

全員が引っ越して別の世帯に合併する場合 (元の家を引き払って同居/同棲する場合、実家に帰る場合) は、引っ越し先に NHK の契約があればこの書類で解約できる。

住宅以外の場所で生活することで長期間不在になる場合 (例: 入院、長旅) は国外転居と同じ方法で解約でき、テレビを残置していても特に問題ないと思われる。珍しいケースでは罪を犯して収監された場合も視聴料は不要となる。

まとめ

海外から引っ越してきて住み始めるひと、海外に帰る人、留学のために出国する人。。。国内外の往来が増えている現状にあわせて、NHKもオンラインでの手続きを充実してほしいしと思う。

NHKのWebサイトで「海外にいくんですか? 出国予定日を教えてくれれば解約できるよ。海外で NHK の番組を見たい? それなら渡航者向けのVODに契約しませんか?」という案内ができれば、事務手続きがスムーズになるだけでなく海外事業も展開できて一石二鳥だと思うのだが、いかがだろうか? > NHKさん

【2019年版】中国滞在時のプリペイドSIM/スマホの準備【Twitter, LINE, Instagram】

謹賀新年、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

「中国によく行く人」から「中国に住む人」にクラスチェンジしたこともあり、最新の情報を共有させていただきたい。

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【中国聯通香港】「中国本土31省と香港8日間 無限上網Data通信専用プリペイド/SIMカード」

目次

まとめ

はじめに

イノベーションの発信地として近年急速に注目されている深圳 (深セン) をはじめ、上海、北京、杭州など中国に訪れる日本人は数多い。一方、中国ではインターネットサービスの運営は届出制になっていて、届出をしていない TwitterFacebook、LINE、Instagram などは現地の回線で使うことができない*1プリペイドSIMを用いて日々使い慣れた Web サービスを中国に持ち込んだスマホで使う方法についてここにまとめる。

中国での通信手段は「ローミング」がオススメ

中国で TwitterFacebook などが繋がらないのは、中国現地の通信事業者がグレートファイアーウォール (GFW, 金盾) という装置を設置しており、中国政府に届出してない Web サービスはここで遮断されてしまう。

「海外ローミング」や「VPN」を用いて中国の外を経由して通信することで、この制限は解決する。このうち中国政府の許可を受けた VPN サービスを日本人が使うことは難しく、グレートファイアーウォールに遮断されたり速度が制限されることが多い。そこでプリペイドSIMによる海外ローミングをオススメしたい。

SIMロックを解除しよう

中国大陸で通信できるプリペイドSIMでオススメなのは香港の通信事業者 (中国聯通香港) が販売するもの。これを使うにはSIMロックの解除 (またはSIMフリー機種) が必要なので、まず解除の作業をしてみよう。

ちなみに MVNO 各社 (IIJmio、OCN、BIGLOBELINEモバイルなど) や量販店の格安SIMコーナーで購入したスマホ (Y!mobileブランド、UQブランドを除く) 、Apple Store でキャリア契約なしに購入した iPhone の場合、 SIM ロックが最初から解除されているので上記操作は不要だ。

解除の手続きは窓口、電話、オンラインで可能。オンラインで手続きすると手数料がかからない (電話と窓口では3000円+税がかかる) のでオススメ。

以下の条件に当てはまらない限り解除できる。

  • 分割払いで購入し、購入から100日経過していない
  • 一括払いで購入した際に「端末購入サポート (NTTドコモ)」「au購入サポート」「一括購入割引 (ソフトバンク)」の施策を適用した場合で、購入から100日経過してない
  • 端末を購入した回線を解約している。かつ、解約してから100日以上経過している
  • 端末を最初に購入した人が手続きできない (中古携帯などで最初に買った人かに手続きを頼めない場合など)
  • 2015年5月以前に発売された機種  iPhone の場合は iPhone 6 か、それより古い機種

キャリアでのSIMの解除手続き後、SIMロック解除の状態をスマホに反映させる作業が必要になる。

以上のように、多くの機種では他社SIMと WiFi の両方が必要になるので、事前に日本でプリペイド SIM を入手して渡航前に WiFi 環境のある自宅などで解除の反映作業をしておく必要がある。

日本から買える中国聯通香港のプリペイドSIMは約1200円

中国聯通香港のプリペイドSIMは日本のAmazonで買えて、香港と中国大陸の両方で使えるので非常にオススメ。 

8日間、最大2GBの通信ができるもので、1,200円前後で販売されている。2GB使い切ったのちにクレジットカードでチャージもできるが、リチャージするよりこのSIMを複数枚使った方が安い。SNSを使いまくったりテザリングをしたりすることを考えているのであれば、複数枚持っていくことを検討しよう。(もちろん同行者とまとめ買いしてもOK)

SIMロックを解除してはじめてのスマホを持っていく場合、渡航の前日に使う予定のスマホに刺してみよう。前述の通り SIM ロック解除の状態を反映させるためには WiFi や解除コードが必要なので、自宅などでやっておくとよい。

「圏外」の表示になれば成功だ。(日本では電波を掴まないので "圏外" は正しい。SIMエラーなどの表示が出ている場合は正しく解除できてない)

トラブルがあったときに何とかなるよう、前日の日中 (通信事業者の窓口が営業している時間帯) にやるのがオススメだ。

SIMロックが解除できなかった場合

SIMロックの解除ができなかった場合は海外パケット定額サービスの利用を検討しよう。

これらのサービスは 980円/24時間 で、auの場合は毎月1日目の利用料金が値引きされる。

ソフトバンクY!mobile は 1暦日2,980円の「海外パケットし放題」が利用できる。加入手続きは不要だ。(ドコモとauで上記の加入手続きを忘れた場合も、ソフトバンクと同等の条件のパケット定額が適用される)

MVNO(格安SIM)など海外ローミングができず、かつSIMロックが解除できない (中古のロック済みスマホを使っている場合) は WiFi ルータを借りよう。例えば GLOBAL WiFI の "特別回線" と書いてあるプランは香港を経由して通信するのでグレートファイアーウォールの影響を受けない。

現地での使い方

中国聯通香港のプリペイド SIM カードの使い方は以下の通り

1. SIMカードを本体に挿入する

SIM ロックの初回解除に WiFi やロック解除コードが必要になるので渡航前にやってみるとよい (前述)

2. データローミングをオンにする

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データローミングをオンにする

香港 SIM を買った場合、香港地域内では不要。(ただしオンにしても特に弊害はない)

3. iPhoneMVNO(格安SIM) を使っていた場合、プロファイルを削除する

 

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設定プロファイルの削除

キャリア (ドコモ, au, ソフトバンク, Y!mobile, UQ mobile) で利用していた端末では不要。日本に戻ってきたらプロファイルの再ダウンロードが必要になるので、ダウンロードの仕方を予め確認しておくとよい。

4. Android の場合、APN の設定が必要なことがある

  • 設定 → その他の設定 → モバイルネットワーク → アクセスポイント
  • 右上 + ボタンを押す
  • 名前: 3gnet 、 APN: 3gnet
  • 右上のメニューから「保存」を選ぶ
  • 一覧の右端 ◯ をタップして ◉ にする

上記の設定をして 2 〜 3 分ほど放っておくと繋がるようになる。

ドコモのパケットパック海外オプションの場合

1. データローミングをオンにする

2. WiFi を切って http://c.dkaigai.jp に接続し、利用開始操作をする (海外に到着すると届くSMSにもリンクがある)

auの世界データ定額の場合

1. データローミングをオンにする

2. WiFI を切って任意の Web サイトを閲覧しようとすると利用開始ページに切り替わるので、そこで利用開始操作をする

 「Googleマップが使える」と「Googleマップが役に立つ」は違う

これらの方法を使うことで中国でも Google や LINE などが使えるようになった。しかし Google マップや LINE が中国で役に立つかというとまた別の話である。

地図: 百度地図 (baidu map) をインストールしよう

Google が中国でのサービスを打ち切ってから9年。その間、地図などのデータはほとんど更新されていない

最新の地図を使うには Baidu Map (百度地図) を入れよう。

百度地图-科技让出行更简单

百度地图-科技让出行更简单

  • Beijing Baidu Netcom Science & Technology Co.,Ltd
  • ナビゲーション
  • 無料


 UI は中国語だが、漢字が読めることが幸いするのと、漢字を簡体字 (中国で使われている文字) に自動変換してくれる機能があるので、中国語がわからなくてもなんとかなる。

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上記では「桃园 (táo yuán)」という駅への経路を検索しているが、日本語の漢字で「桃園 (ももぞの)」と入れても自動的に正しい文字に直して検索結果を出してくれる。

連絡手段: WeChat を入れる

上記の通りプリペイドSIMを使えば LINE や Messenger が使えるが、現地の人は主に WeChat を使っているのでインストールしておくとよい。

 

 

WeChat を使い始めるには電話番号認証が必要なので、日本国内で登録しておくとよい。

なお、現地では「微信 (ウェイシン)」と呼ばれていて WeChat という単語はほとんど通じない

メッセージを長押しすることで翻訳ができる。英語と中国語の相互翻訳は精度が高いので、自分は英語で、相手は中国語でやりとりするとかなりスムーズに伝わる。

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なお Google 翻訳は中国大陸でも VPN なしに使える。こちらも英語と中国語の相互翻訳のほうが精度が高い。

Q&A コーナー

Q1. WeChat Pay やモバイクなど、中国のスマートなサービスを体験してみたい

サービスによって異なるが、おおよそ

  1. WeChat が使えること
  2. WeChat Pay または Alipay が使えること
  3. 中国大陸の携帯電話番号がある
  4. 中国大陸の銀行口座がある
  5. 中国大陸籍の身分証が必要

の5段階のハードルがある。ほとんどのサービスは 3 まで頑張る必要がある。

上記手順で登録できないときはAlipay を試してみよう

※ eSender は登録後パスポートの情報ページ (顔写真があるページ) を送る必要がある。eSender の公式アカウントのチャット画面から写メを送ろう

なお、ライドシェア/タクシーのDiDi(滴滴出行)は運転手から電話がかかってくるので、SMS しか使えない eSender では無理。中国大陸でプリペイド携帯をする必要がある。

旅行者が銀行口座を開設することは非現実的。就労者や留学生は口座開設ができるので、この際に深圳大学への留学はいかがだろうか。

Q2. 香港で SIM は買える? 中国大陸では?

香港で売られている SIM の中には、中国大陸で使えるものとそうでないものがある。今回取り上げた中国聯通香港以外に中国移動香港 (CMHK) も中国大陸で通信できるプリペイドSIMを販売していて、香港空港ではこちらを購入することができる。

ただし中国移動香港のSIMはAndroidで低速通信になることがある (TD-LTE への対応が必要で、それがないとGSMになる) こと、中国聯通香港の中国大陸用SIMは深水埗(シャムスイポ)などでしか買えないことを考えると、日本で事前に入手することを強く推奨する。

一方、中国大陸では基本的には購入できない。上海や北京などから入国する場合、香港以上に事前の入手が必須といえよう。

Q3. 最近 iPhone XS を分割払いで購入したばかり。SIM ロック解除できますか?

キャリアの分割払いは一括精算をすることができる (その際にクレジットカードが利用できる)。一括精算してからSIMロックの解除ができるようになるまで時間がかかることもあるので、早めにキャリアショップに相談しよう。

Q4. Wi-Fi ルーターはどうですか?

充電の管理が煩雑になるのであまりオススメできない。どうしても持っていく場合は1人1台で。グループで共有すると、トイレに行くことすらままならないので……。

WiFi ルータを購入するのであれば Battery Wi-Fi MF855 がオススメ。

この機種は中国大陸の周波数帯にバッチリ対応しており、中国移動香港と中国聯通香港どちらも利用可能である。

Q5. SIM フリー携帯を買おうと思います。どれがいいですか?

日本で売っていて、中国の周波数帯に最適化 (TD-LTEを掴める) されていて、DSDS (SIMを2枚刺して同時に使える) を満たす機種はこのあたり。 

HUAWEI P20 は TD-LTE と TD-SCDMA に対応していて、かつ日本の周波数帯もフルカバーしている。執筆時点で 55,530 円とハイスペックにしては買いやすいのがよい。

一世代前のフラッグシップ機 Mate10 Pro もオススメ。こちらは執筆時点で 52,900 円で P20 よりメモリの搭載量が多い。 

中国の周波数帯の最適化を諦め、中国聯通香港 (今回取り上げているプリペイドSIM) のみでよくなると、2万円台から買えるようになる。

ZenFone Max M1 は2万円台中盤で買える SIM フリースマホ。デュアルSIMに加えて microSD カードスロットがあるという珍しい機種。(他のデュアルSIM機は、2枚目のSIMがmicroSDと排他設計になっていることが多い)

Moto G6 Plus は3万円中盤になるが、 Snapdragon 630 と中位のCPUを積んでいて、処理能力が高め。WiFi も 5GHz 帯に対応している。普段使いするならこちらを選ぶのもよいだろう。

iPhone も 7 であれば中古で 4万円以下で買えてしまう。iPhone は世界中の周波数帯をフルカバーしていて、OS のサポートも長いので中古で構わなければ iPhone を選ぶのもよい。

HUAWEI P20 lite は DSDS に対応してないので今回は取り上げてない

Q6. eSIM を積んだ世界対応 WiFi はどう? (GlocalMeなど)

GlocalMe など、世界の eSIM を自動的に契約してくれる WiFi ルーターがあるが、こちらではグレートファイアーウォールを回避できないことがある。

これらの eSIM WiFi ルーターは提携先の事業者が中国大陸であるか香港であるかを指定することができないため、確実な回避を保証することができない。また eSIM 技術は発展途上のため SIM のダウンロードに時間がかかったり挙動が怪しくなることがある。オススメできない。

Q7. 中国旅行のついでに香港、マカオ、台湾にも立ち寄るつもり。使える?

今回紹介している中国聯通香港のSIMはマカオ、台湾では使えない。(香港では使える)

代わりに候補になるのが AIS の SIM2Fly。日本、中国、香港、マカオ、台湾、韓国、マレーシア、シンガポールラオススリランカ、インド、フィリピン、ミャンマー、オーストラリア、ネパールで使える。値段は 4GB で 1,600 円程度

ただし中国では中国移動にローミングするため、TD-LTE と TD-SCDMA への対応 (B38, B39, B40, B41) が必要である。iPhone (6s以降) ならば問題ないが、Android の場合は事前に確認が必要だ。Android を使っていて周波数帯のことがよくわからない場合、オススメ通り中国聯通香港のSIMを買った上で、マカオや台湾の現地で SIM を買うことを勧める。(これらの国では簡単にSIMが買える)

結びに

総務省の方針もあり、今やほとんどの機種でSIMロックを解除できるようになった。また中国聯通香港のSIMが安定して入手できることから、通信手段に悩む必要はなくなった。

一方、中国に多くの人が訪問するようになったことで、SIMロックの解除を有効化するために WiFi が必要であることや、中国大陸では Google マップが役に立たないことなど、最近は丁寧な説明が求められるようになってきた。

中国での通信事情について、新たな情報があり次第更新する。

*1:マイクロソフトのBingやAppleiCloudは中国政府に届出しているため、中国現地の回線から接続することができる

WeChat Pay 顔認証決済レストランにいった

深圳の家乐缘 (Jiā lè yuán) というビュッフェスタイルのレストラン (快餐店) が WeChat の顔認証決済をとりいれた「スマートレストラン」の実験をはじめたと聞いたので行ってみた。

場所

家乐缘(彩田店) 深圳市福田区彩田南路2014号福源大厦2栋1楼

深圳地铁1号线 岗厦站 (深圳地下鉄1号線 崗厦駅) のD出口から歩いて5分ほど。保华一路に面した側に入口がある。なぜか「饗食」という看板がかかっている。家乐缘のブランドなのだろうか。

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家乐缘 (彩田店)

入口の列整理ポールに「本店支持 刷脸自助买单」(当店は顔認識セルフ決済に対応してます) の文字が。

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「本店支持 刷脸自助买单」(この店は顔認証セルフ決済に対応してます)

店内

店内は中国でよくみかける快餐 (ビュッフェスタイルのファストフード) だ。しかし通常は商品ごとに「これは xx 元」と値札がついているわけではない。

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いよいよ顔決済へ

顔決済の人はここで専用のレジに商品を持っていく。

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顔認証セルフ決済レジ

さて、注文した商品を載せてみる。

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223.92 元 (3,650円) 、いやおかしい。。

ごはんは専用の容器に載せないとエラーになるらしい。ごはんを入れ替えてもらって再スタート。

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今度は 38.82 元 (633円) 。中国のランチとしては高いけどおもしろいからいいや。

顔認証セルフ決済が珍しかったのか、店内の警備員が僕の様子をスマホで撮影しはじめた。

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顔認証をすると WeChat に登録した携帯番号を求められる。(2回目以降は不要かも)

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「あなたの WeChat アカウントは中国大陸の身分証明書で認証してません。QRコードでお支払ください」と。あー、日本人には無理だ!

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ふつうにレジでQRコード払いになりました

余談

実は顔認証決済が導入されているケンタッキーで試したときに同じ理由で失敗したので、今回もこの結末をある程度予想していた。(ただしケンタッキーは Alipay で、家乐缘は WeChat Pay なので若干の期待はしてた)

 おそらく顔認証のデータベースは中国大陸の身分証としか紐付けられておらず、外国人や台湾・香港・澳門の住民は使えないのだろう。

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なお、この顔認証セルフ決済コーナーは調味料置き場を兼ねているので、調味料を取りに来る人はよく来たが、僕が店内にいた20分では誰も顔認証決済に挑戦していなかった。

この顔認証セルフ決済は2018/12/25 から 2019/01/04 までの期間限定のテスト運用とのこと。

家乐缘智慧餐厅-靠脸吃饭

もしこの記事を読んだ深圳居住の中国大陸籍の方がいたら是非レポートしていただきたい。

 

深圳大学の留学関連 FAQ (非公式)

きのう書いた深圳大学の留学を紹介するエントリがあっという間にホットエントリ入りし、いろんな反響をいただいたので、わかる範囲で答えてみようと思う。時には自分の意見も入る。

※ 随時加筆します

語学だけのコース? 入学試験とかあるの?

元エントリでちゃんと触れてなかっただが、僕通っているのは「语言生」と呼ばれる、中国語が母国語でない人向けに中国語を教えるクラスだ。中国語の授業が週に20コマ (1コマ40分) で、高校卒業以上であり、申込と学費の支払いさえあれば基本的に通うことができるものだ。いわゆる単位はもらえない。

 

それ以外に「学历生」とよばれる、入学試験があり、中国語以外の授業もあり、単位がもらえるクラスもある。

授業料は安い?

8800元は半期の値段であり、かつ授業は午前中のみなので「激安」というほどではないかもしれない。しかし外国語の民間教育と比べると

  • 深圳大学: 40分×週20コマx16週=213時間20分, 672円/時間
  • ECC外語学院: 80分x週1コマx4週=5時間20分, 3000円/時間

という感じになる。

もっと安く済ませたければSkypeを使ったオンラインレッスンや自学自習などもあり人それぞれであるので一概に言えない。

先生の授業はとてもおもしろく、個人的には深圳大学の料金に満足している。

他の都市のほうがいい?

北京でも上海でも大連でも、多くの大学が外国人向けの中国語クラスを持っていて、多くの日本人が通っている。好きな都市に行けばいいと思う。

WeChat Pay や Alipay はどこの都市でも普及しているけど、街の移り変わりの速さ、そして異郷の人を迎え入れてくれる雰囲気で言えば深圳がダントツである一方、歴史は浅い。

歴史が深くなると大学のクオリティもとても上がるので、もし語学以外にMBAや科学技術を学びたいのであれば、清華大学浙江大学などの名門校に挑戦するのがよいだろう。

香港の大学も歴史があるので、お金に余裕があれば考えても良いだろう。香港中文大学では半年分の費用として

  • 授業料: 24,075 香港ドル (≒346,000円)
  • 生活費: 67,000 香港ドル (≒961,000円) - 2人部屋で1人あたり

目安が提示されており、深圳の2〜3倍かかると思ったほうがいい。

深圳は普通话を使う地域。タクシーの運転手や小さいレストランの店員は南方訛りがけっこうあるが、こちらが喋る普通话は通じるので問題ない。アーティストや学校の先生を目指すのではない限り、南方の訛りが中国語の習得上、大きな問題になることはなさそう。

北京に留学経験のあるこじらせ東大女子さんが紹介記事を書いているので、こちらもあわせてどうぞ。

icotaku.hatenadiary.com

基礎を学んでから行った方がいい?

語学アプリを入れて、少しでも基本的な単語を知っておくと助かる。あと辞書アプリもちゃんと買った方がいい。

以下は僕が iPhone に入れているアプリ。

中国語への扉 - ChineseSkill

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  • ChineseSkill Co., Ltd.
  • 教育
  • 無料
小学館 中日・日中辞典(第3版)

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  • 物書堂
  • 辞書/辞典/その他
  • ¥4,000
HSK Online—中国語能力試験最適

HSK Online—中国語能力試験最適

  • Shanghai Yuxuan Information Technology Co. , Ltd
  • 教育
  • 無料

正確な発音を心がけるのも重要だが、中国語は大きな声を出すことがとにかく重要。大きく口を動かし、息をたくさん吐かないと伝わらない言語なので、日頃からプレゼンなどで明瞭な発声をする習慣があるととても楽だ。

日本人の比率は?年齢層は?

僕がいる入門クラスでは日本人の比率が15%ほど。ちなみにいちばん多いのは韓国人で2割ほど。あとはロシア、インド、メキシコ、スウェーデン、スペインなど国際色豊か。

とはいえ漢字文化圏の生まれでないと中国語を深く学習するのは難しい。因って以て中級、高級とレベルがあがるに連れて日本人と韓国人の比率はさらに上がる傾向にある。

教室内はもちろん、駅への道や食堂などでも日本人に会うことは珍しくない、といった感じ。

年齢は交換留学で来ている現役生から40代まで様々。25-35歳ぐらいが多い。

中国で勉強することは大丈夫か?

  • 治安: 体感的にはよさそう。大きなトラブルを路上で見かけたことはない。カバンをタクシーに忘れた友人が警察に向かったところ、警察官が防犯カメラの履歴をつぶさに調べて車両ナンバーを特定し、荷物を取り返してくれるのを手伝ってくれたし、なくした携帯電話が戻ってきた話も何度か聞いた。店員が席を外している間は客任せで QR コードのセルフ決済をさせている店もみかける。そのくらいには治安がよい。
  • 食生活: 「慣れない食べ物で1週間ぐらいお腹を下す」みたいな話はよく聞くが、深刻な話はあまり聞かない (担ぎ込まれたとか食中毒とか)。火を通して食べないのは果物ぐらい。食文化の違いで欧米人が苦労しているのに比べ、出汁文化に白米文化と共通点が多い日本人は比較的馴染みやすい。深圳は移民の街なので、中国全土の料理を食べられるし、辛さが苦手な地域からの移民も多いので「まったく辛くない火鍋」とかもふつうに注文できる。
  • 政治体制: 少なくとも語学の授業を受ける上ではまったく関係ないし、中国の友だちとの交流でも関係ない。国際情勢が好物の市民も多く、タクシーの運転手から「安部首相どうよ」などとよく聞かれる。そういうのはいかように答えても大丈夫だけど、自分の意見がない人に対しては、あまりよい目でみられない。
  • 空気: マスクが必要だとおもったことは一度もないくらいにはきれい。電気自動車が多く、また緑地も多いので空気の状態は概ね良い。
  • 交通: マナーが良くなったとはいえ、まだ自動車の運転は荒い人がけっこういるし、電動バイクは信号を守らない。道路が凸凹なこともあるので、歩きスマホは絶対やめたほうがいい。

衣食住や政治体制に対してリスクを感じたことはない。交通事故は今でも恐い。

 

他に質問があれば追記するので、Twitter のレスや Facebook Messenger, あるいはコメント欄にお寄せください。

 

深圳大学に留学しよう

人類史上最速でイノベーションが進んでいる、といっても過言ではない深圳。深圳大学に留学することで、中国語を学びながら深圳の生活を体験することができる。

僕は今年 (2018年) の9月から深圳大学に留学しているので、その様子を紹介したい。

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広々とした深圳大学。向こうに見えるのはテンセントをはじめとした深圳のテックカンパニーだ

深圳大学留学のメリット

  • 深圳に住むことで、最先端のイノベーションの現場を肌で体験することができる。深圳に住んでいる人との交流もオススメ。
  • 授業料が安い。半期で16万円ぐらい。
  • 入門から上級までレベルが豊富。入門は「ニーハオ」から教えてくれる。
  • 授業は平日午前中のみ。午後や週末は自分の時間として使える。

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深圳大学の構内にある「菜鸟站」は宅配小包を受け取れるアリババのスマート物流プラットフォームだ

ぶっちゃけどう?

控えめにいって最高の体験

自分はニーハオぐらいしか知らない程度、数字もまともに数えられないぐらいの中国語力で留学をはじめたが、4ヶ月ほどの学習では生活に必要な多くのことを教えてくれ、先生はもとより街のひとに積極的に話しかけられる程度には中国語を話すことが楽しくなった。レストランの予約を電話できるぐらいはできるようになった。

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共享充电宝 (シェアリングモバイルバッテリー) という単語を教えてくれる深圳大学。

深圳は移民の街で、標準的な中国語 (普通话) が苦手な人も多い。なので下手な中国語でも、みながんばってコミュニケーションをとろうとしてくれる。意思が通じると非常に喜んでくれて「厉害!厉害! (すごい、すごい)」と褒めてくれる。

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滴滴 (ライドシェア) の運転手は中国語の歌を教えてくれた。(センターコンソールの画面に歌詞が出ている)

学習効果もさることながら、深圳人*1として生きることが非常にエキサイティングな体験。現地のシェアオフィスやスポーツジムに通ったり、とても充実したインプットを得られている。

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bee+というシェアリングオフィス。ソフトドリンク飲み放題のラウンジは35元(570円)で1日使い放題だ。

1歳の息子を抱えながらも深圳大学への留学を支えてくれた家族に感謝したい。

スケジュールは?

2019年秋学期 (9月〜1月) のスケジュールは以下の通り (出願期間以外は未確定)

  • オンライン出願: 5/8 〜 7/10
  • 深圳入り: 8月最終週あたり
  • 授業と試験: 9月〜1月初旬

また4週間/7週間の短期コースもある

  • オンライン出願: 5/8 〜 6月下旬?
  • 登録日: 7/4 または 7/5
  • 授業: 7/8〜8/2 (4週コース) , 7/8 〜 8/23 (7週コース)

参考までに 2019年春学期 (3月〜7月) のスケジュールは以下の通り。

  • オンライン出願: 〜1/5 まで
  • 深圳入り: 2/27 頃
  • 授業と試験: 3/4 〜 7/5

公式の文章はこちら。(中国語のあとに英語で記載がある)

深圳大学国际交流学院 2018-2019 学年第二学期院历

かかるお金は?

授業料は 8,800 元。それに強制加入の保険 (留学中の通院などに適用される) と教科書などをあわせて 16万円ぐらい。

生活費は人によって異なるが、僕の場合は

  • 住居費: 5万円/月ぐらい - 最近リノベしたワンルーム。家具 (ソファー、机、ロフトベッド、テレビ、洗濯機)、キッチン、トイレ、シャワーつき。
  • 食費: 全部外食で、1日1,000円でお釣りがくる

といったところで、たまに飲みにいったりタクシー乗ったりして月に10万円ぐらい。相部屋にしたり学食を活用したりすれば、もっと下げることもできる。

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僕が住む部屋。ソファに机に収納など最初から備え付けられている。

深圳での生活について

授業は原則として平日の午前中だけだ。8:30 から 11:50 に、40分×4コマの授業がある。(休日に伴う振替授業などで変わることもある)

なお、留学生ビザを取った場合、8割の出席率が求められる (遅刻は4回で1欠席扱い)。

午後は自分の時間。授業の予習復習をするのはもちろん、この機会に新たな技術を習得したり、大学の課外活動 (書道、中国画、太極拳、広東語など) に参加したり、運動場で汗を流すのもよいだろう。

活动行 (eventbrite みたいなサービス) で深圳のITイベントをみつけて参加するのもおもしろい。

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深圳で開催された Kubernetes (仮想マシンの管理技術) のミートアップに参加した。

留学生ビザの場合、中国でバイトしたり就業することはできないが、YouTuber やリモートワークなどで日本から収入を得ているという話はまま聞く。

中国で GoogleTwitter などにつなぐ方法はあるので大丈夫。

興味がある!どうすれば?

まずはオンライン出願をしよう。パスポート情報を記載する必要があるので、パスポートの用意も必要だ。

その後は留学に向けての各種手続きがある。僕の経験を wiki にまとめはじめているので、参考になるかもしれない。

紹介すると特典があるようなので、興味があるひとは Twitter @shao1555 へダイレクトメッセージ、または Facebook Messenger で問い合わせてください。質問に答えたり、住居の紹介もできます。(今すんでいるマンションに、空室が出そうなので紹介したいというのもあります)

追記 (2018/12/25)

おかげ様で沢山のリアクションをいただきました。いただいた質問に答えてみるコーナーを作りました。

shao.hateblo.jp

追記 (2019/04/30)

まもなく (5/8から) 夏期講習と秋学期の募集がはじまるので情報を更新しました。

また細かい情報は有志で Wiki に書くようにしました。

scrapbox.io

*1:本来は「上海人」「四川人」のように出身地をさす言葉ではあるが、深圳は大半が移民の街であるため「深圳に住んでいる人」を深圳人と呼ぶ。「ようこそ、来たあなたは深圳人だ!」というポスターまである。

マッハ新書のつくりかた

さる 4月25日、VRエンスーで著名なGOROmanさんが「全ての出版社は多分潰れる」という電子書籍を出した。この本は、同氏が飛行機の欧州航路で移動中の12時間で書き上げた「即席の書籍」である。

あたかもGOROmanさんが目の前で即席のプレゼンをしてくれているような感覚に陥った。本なんだけど圧倒的なライブ感。その面白さに惹かれ、その夜には自分も筆をとっていた。

外が明るくなる頃には書き上がったので、すぐに BOOTH に陳列した。自分の思うところを荒々しく書き綴った、決して完成されてない書籍が世の中に出た。

ニコ技深圳コミュニティでお世話になっている伊藤亜聖さんがGOROmanさんと私のムーブメントに乗り、後に続いた。「大学の先生がスマホで書いた本」という、これまでにないスタイル。私は Pages での組版と校正を数時間ほど手伝い、98ページもの書籍が世に出た。

わずか4日間で3冊の本が出た。これを「マッハ新書」と名付けることにした。

ちなみに3冊目の「加速都市深圳」の出版を手伝わせて頂いた。

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コミュニティ時代の本

マッハ新書は、単に高速で出版されることが特徴ではない。TwitterFacebookなどのSNSを通じて本のリリースが拡散するとともに、感想から誤字脱字に至るまで、さまざまなフィードバックも即座に伝わる。それらの声をもとに加筆訂正が行われ、その日の間に次の版がリリースされ、またダウンロードできるようになる。
そして前述のように、マッハ新書に感銘を受けた人が、新たなマッハ新書を生み出す。
さながら本を通じて「生きたコミュニティ」があらわれるのだ。

マッハ新書を支える Pages と iPad

GOROmanさんの「全ての出版社は多分潰れる」は iPad の Pages で書かれている。それに倣い、私の「シンギュラリティが終わる日」と伊藤亜聖さんの「加速都市深圳」もPagesで作っている。このアプリを使うとマッハ新書を素早く出すことができるのだ。

まず Pages は Word と同じくワードプロセッサなので、強調やルビなど、書籍の体裁に必要な装飾、そして見出しレベルや本文などの構造化された文章と、それに応じたスタイルの設定ができる。
また、iPad では注釈をペンでいれる機能があり、伊藤さんの本では私がスタイリングしている間に伊藤さんが校正を素早く進めることができた。

Pages でつくるコツをいくつか書いておく

1. 新規作成時に「ブック - 縦 > 空白ブック」を選んでおく

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2. 書類設定で「A4」にする。ヘッダ・フッタも入れられる

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3. 見栄えは気にしなくていいが、「段落スタイル」はちゃんと設定する (見出し、中見出し、本文など)

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4. スマホで読むことを前提に、文字はおおきくしておく。本文は 18pt とかあってよい (プリントアウトしてもらう場合は、2面付けにしてもらう)

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見栄えの設定が面倒な人向けに、Pages のテンプレートを置いておく。

マッハ新書 テンプレート.pages (539KB)

作成が終わったら、EPUB 形式で書き出しをする。リフロー型のほうがユーザのデバイスにフィットするが、複数のデバイスで改行位置がいい塩梅かを確認する作業が発生して面倒なので、固定レイアウトにしてしまおう。大丈夫、18pt の文字サイズなのでスマホで問題なく読めるし、PCで読む場合は見開き表示でいい感じになる。

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あとは BOOTH に #マッハ新書 というタグをつけて出品し、TwitterFacebook で告知するだけだ。

 

まとめ

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第8回 ニコ技深圳観察会 (2018/03) 参加レポート : Shenzhen Speed の正体を探る旅

2018年3月19日〜21日にかけ、スイッチサイエンスの高須さんが主宰する「第8回 ニコ技深圳観察会」に参加してきた。2016年、2017年に続き3回目の参加となった。

今回の観察会は事前にブログを提出しての選考が行われた。また、観察会を終えた後に、その感想をブログなどでシェアすることがルールとなっている。

Shenzhen Speed とは

深圳でのプロダクト開発は極めて速い。ハードウェアスタートアップ向けのアクセラレータプログラムの HAX は 短期間でプロダクトアウトを目指し (以前は111日間といっていたが、今は4〜6ヶ月と言われている。それでもハードウェア開発としては極めて速いと言える)、彼らが深圳のことを紹介するときには "深圳の1週間はシリコンバレーの1ヶ月に相当する" とよく語っている。こうした俊敏なプロセスは「Shenzhen Speed」と呼ばれ、世界から注目を集めている。

ソフト・ハード両面のスーパーエンジニアリングで加速する Insta360

360° カメラを手がける Insta360 (Shenzhen Arashi Vision Inc) は、立ち上がってまだ3年ほどの企業であるが、nano, Air, One, Pro, nano S と 5 機種を立て続けに出している。光学系の設計が必要であり、かつスマートフォンとの緻密なインテグレーションが必要である複雑な機器をこの速度で開発できることに驚くが、彼らの強みはソフトウェア・ハードウェア双方にわたる改善のスピードであると思う。

(スマートフォンからはこのリンクよりYouTube アプリで再生されたし)

上の映像は、つい先日 (3月20日) にリリースされたファームウェアアップデートを適用した Insta360 One で撮影したものだ。いわゆる「自撮り棒」を持って歩いただけだが、まるでジンバルを持っているかのように安定した映像になっている。

彼らが目指す市場は 360° カメラだけでなく、カメラそのものだと語っている。すなわち 360° カメラの技術を用いてジンバルや自由視点撮影などができる「最高のカメラ」をつくろうとしている。さらにライトフィールドカメラのような新たな技術への研究開発にも余念がない。

Insta360 の展開が何故速いかについて、同社の Bianca さんに聞いたところ、

  • VR など 360° 市場の立ち上がりにうまく乗り、資金を大きく集められたこと
  • 採用をがんばり、よいチームがつくれたこと
  • 何はともあれ、チームのみんなが仕事をがんばっていること

が速さの秘訣だと答えた。決して突飛な打ち手ではなく、どれも事業における基本ではあるが、それらを丁寧かつハイレベルに行えているからこそ、この速度が実現できているのであろう。

山寨を組み合わせてロボットをつくってしまう CityEasy

山寨(shanzai)とは山の要塞、そこから転じて「ゲリラ的に開発された模造品・二級品」の意味で、iPhone や GoPro などの偽物や、Amazon でよく見かける、聞いたことのないブランドの USB ケーブルやモバイルバッテリーなどの粗雑な商品を指す。

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CityEasy は Apple Watch っぽいスマートウォッチ (Apple Watch と誤解させることを目的にしているなら海賊版だが、彼らの場合はデザインなどが全然違うので、そういう意図ではなく、深圳で出回っている基板で作った二級品だろう) などを手がけていたが、最近は施設案内や娯楽・教育のためのロボットなどをつくっている。よくみるとロボット掃除機や Android タブレットなどに由来してそうな構造が見て取れる。こうした「世の中に既に出回っているモジュール」を組み合わせ、俊敏な開発体制を構築することができている。

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このロボットは子供向けにコミュニケーション (音楽や童話の読み上げなど) をしてくれるものだが

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なんと、中にはスマートウォッチが入っている。スマートウォッチ + スタンドをロボットに見立てたというものだ。

この会社のロボットは金融機関や施設の案内など、to B 案件での引き合いが多いとのこと。実際に深圳空港のラウンジでは稼働しているロボットを目撃することもできた。(Android ベースのもので CityEasy 社で見たものと似ているが、製造元がどこであるかは確認できなかった) こうした社会のニーズに既存のテクノロジの掛け合わせで速やかに応えていくスタイルは非常に印象的だった。

Shenzhen Speed を生み出す都市空間

深圳市软件产业基地 (Shenzhen Software Industrial Base) は WeChat / QQ で有名な腾讯 (Tencent) の本社と百度国际大厦 (Baidu International Building) に挟まれたエリアで、数多くのITスタートアップのオフィスが集積している。

このエリアではインキュベーターベンチャーキャピタル、メイカースペース、法律・会計・特許事務所、銀行、英会話教室、そしてイベントスペースや電源完備の喫茶店に至るまで、スタートアップが必要とするものを集積させている。

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深圳のITスタートアップの働き方は「996現象」と言われており、これは「朝9時から夜9時まで、週6で働く」実態を意味している。目の前には、豊富なキャッシュを有するネット企業の Tencent と Baidu があり、スタートアップの一挙手一投足は彼らの目に留まる。このエリアにあるリソースと気力をフルに投入して EXIT まで一直線で駆け抜けようとするベンチャーが集まっているのだろう。

また、食環境のよさもスタートアップを加速させることの一助になっている。

深圳では朝食から夕食、深夜まで「どこかの店が営業している」ようになっていて、どの時間帯であっても温かい料理にありつけるようになっている。ファミレスかマクドナルドぐらいでしか朝食を食べられない日本とは対照的だ。

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そして予約なしにパーティーができるくらい店が広い。観察会の1日目に行われたミートアップでは白石洲に70人ほどのメイカーが集まり、各自の活動を紹介しながら思い思いに歓談が行われた。「大人数であっても気軽に同じ釜の飯を囲める」飲食店の発展は、コミュニティを活性化することに大いに役立つし、仕事で疲弊したチームの心身を癒やして英気を養うのにも最適だろう。GoogleFacebook がコックを雇い社内にレストランを設けてエンジニアを鼓舞しているが、これと同じことを深圳では街全体で担っている。

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全力で踊り続けたら Shenzhen Speed になる

曲がりなりにも複数社の立ち上げから EXIT までを経験し、今もいくつかのITスタートアップを支援している自分にとって、スタートアップがぶちあたる大きな壁は「熱量の高い人を集めることがすごくむずかしい」ことだ。最初の数人であればまだしも、会社の規模が大きくなるにつれて、どうしても事業やプロダクトへの熱意がそこそこの人を雇わざるを得なくなってしまうのが常だ。しかし深圳で「うまくいっている」チームは、見ただけでチームの熱量が極めて高いことがすぐわかる。

この疑問は高須さんが最終日に行ったプレゼン「僕たちが起こせるマジック」で解くことができた。

深圳をリードするスタートアップのチームには「やりたいこと」が先にあり、とにかくやりたいことを全力でやることで、それに共感した人が集まってくるという仕掛けがあることに気づかされた。そのことを高須さんは「自分たちのためのイノベーション」と語っている。また同セッションで TED の "How to Start a Movement" の一節をとりあげ「裸で踊っているのがイノベーター、そこに二人目が参加することが大事」と言っている。深圳はまさに「裸で踊っているイノベーター」が大事にされていて、そこに集う人が全力で踊り続けるからこそ、他に類を見ないスピードでイノベーションが起こり続けるのだと思った。

やりたいことで生きる時代がやってくる

これまでの社会では生きるためにお金や知識 (言語や数学、働くための専門知識) が必要であり、そのために人は学び、組織化し、働いてきた。しかしインターネットとコンピューティングの進化により、お金を得るために組織を構築する必要は薄れ、言語や数学もコンピュータの手助けを得られるようになってきた (僕は中国語が喋れないが、画像検索で店員に意思を伝えてコミュニケーションをとったりしている)。 やがて人間の労苦を AI が取って代わるようになり、ベーシックインカムが実現する日がやってくるだろう。

つまり、「生きるため」の仕事が減っていき、「やりたいこと」で生きていく人が増えていくのではないかと思っている。既に YouTube が「好きなことで生きていく」というキャッチコピーを掲げていて、現にそういう生き方をしている人も出始めた。また「やりたいことをやっていたら、それが仕事になっている」という人もすでにいるだろう。「やりたいこと」ドリブンでイノベーションが進んでいる深圳は、まさに未来を先取りしていると言えるのではないだろうか。

自分がやりたいこと: 便利なサービスをみんなが使う姿をみたい

自分はインターネットで便利なサービスを作ったり使うことが好きで、そのことを人に伝えて、みんなが便利さを実感できるようになることが大好きだ。中国には便利な Web サービスがたくさんあって社会に浸透しているのがとても羨ましい。日本でも便利なサービスがガンガン生まれて、みんなが楽しくサービスを使ってほしい。そんな気持ちから、中国ネットサービスのイノベーションを紹介するプレゼンを観察会でやらせてもらった。

中国のサービスをそのまま日本に持ってくればいいと思っているわけではないが、中国ネットサービスの膨大な成功と失敗から学んだ上で、日本でも便利でみんなが使えるサービスが数多く生まれるようにしたい。とりわけ「高齢者でも使えるネットサービス」は中国でも未解決な問題であり、そこに先陣を切り「おじいちゃん・おばあちゃんが夢中になれるサービス」が日本で数多く生まれるようになれば最高だ。

そんなことを考えるきっかけとなり、強い刺激を受けた観察会であった。