【2019年版】中国滞在時のプリペイドSIM/スマホの準備【Twitter, LINE, Instagram】
謹賀新年、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
「中国によく行く人」から「中国に住む人」にクラスチェンジしたこともあり、最新の情報を共有させていただきたい。
目次
- 中国での通信手段は「ローミング」がオススメ
- SIMロックを解除しよう
- 日本から買える中国聯通香港のプリペイドSIMは約1200円
- SIMロックが解除できなかった場合
- 現地での使い方
- 「Googleマップが使える」と「Googleマップが役に立つ」は違う
- Q&Aコーナー
まとめ
- SIMロックを解除し、Amazon.co.jp で買った中国聯通香港の4GプリペイドSIMを挿して使おう
- SIMロックが解除できない場合はドコモ・auが提供する海外パケット定額サービスを考える
はじめに
イノベーションの発信地として近年急速に注目されている深圳 (深セン) をはじめ、上海、北京、杭州など中国に訪れる日本人は数多い。一方、中国ではインターネットサービスの運営は届出制になっていて、届出をしていない Twitter や Facebook、LINE、Instagram などは現地の回線で使うことができない*1。プリペイドSIMを用いて日々使い慣れた Web サービスを中国に持ち込んだスマホで使う方法についてここにまとめる。
中国での通信手段は「ローミング」がオススメ
中国で Twitter や Facebook などが繋がらないのは、中国現地の通信事業者がグレートファイアーウォール (GFW, 金盾) という装置を設置しており、中国政府に届出してない Web サービスはここで遮断されてしまう。
「海外ローミング」や「VPN」を用いて中国の外を経由して通信することで、この制限は解決する。このうち中国政府の許可を受けた VPN サービスを日本人が使うことは難しく、グレートファイアーウォールに遮断されたり速度が制限されることが多い。そこでプリペイドSIMによる海外ローミングをオススメしたい。
SIMロックを解除しよう
中国大陸で通信できるプリペイドSIMでオススメなのは香港の通信事業者 (中国聯通香港) が販売するもの。これを使うにはSIMロックの解除 (またはSIMフリー機種) が必要なので、まず解除の作業をしてみよう。
ちなみに MVNO 各社 (IIJmio、OCN、BIGLOBE、LINEモバイルなど) や量販店の格安SIMコーナーで購入したスマホ (Y!mobileブランド、UQブランドを除く) 、Apple Store でキャリア契約なしに購入した iPhone の場合、 SIM ロックが最初から解除されているので上記操作は不要だ。
解除の手続きは窓口、電話、オンラインで可能。オンラインで手続きすると手数料がかからない (電話と窓口では3000円+税がかかる) のでオススメ。
- NTT ドコモ: My docomo の解除手続きページ
- au (KDDI): SIMロック解除の可否判定 (可否判定後に解除手続きに進める)
- ソフトバンク: My SoftBank の解除手続きページ
- UQ mobile: 解除手続きページ
- Y!mobile: My Y!mobile から手続きができる
以下の条件に当てはまらない限り解除できる。
- 分割払いで購入し、購入から100日経過していない
- 一括払いで購入した際に「端末購入サポート (NTTドコモ)」「au購入サポート」「一括購入割引 (ソフトバンク)」の施策を適用した場合で、購入から100日経過してない
- 端末を購入した回線を解約している。かつ、解約してから100日以上経過している
- 端末を最初に購入した人が手続きできない (中古携帯などで最初に買った人かに手続きを頼めない場合など)
- 2015年5月以前に発売された機種 iPhone の場合は iPhone 6 か、それより古い機種
キャリアでのSIMの解除手続き後、SIMロック解除の状態をスマホに反映させる作業が必要になる。
- iPhone / Pixel 3 / Pixel 3 XL: 他社のSIMを挿し、WiFi に繋ぐ
- ドコモ/ソフトバンク/Y!mobileのAndroid: 他社のSIMを挿し、SIMロック解除コードを入力する
- auのAndroid: 他社のSIMを挿し、WiFi に繋ぎ、「設定」→「端末情報」→「SIMカードの状態」→「SIMカードの状態を更新」(機種により "ステータス" などの用語が使われていることがある)
以上のように、多くの機種では他社SIMと WiFi の両方が必要になるので、事前に日本でプリペイド SIM を入手して渡航前に WiFi 環境のある自宅などで解除の反映作業をしておく必要がある。
日本から買える中国聯通香港のプリペイドSIMは約1200円
中国聯通香港のプリペイドSIMは日本のAmazonで買えて、香港と中国大陸の両方で使えるので非常にオススメ。
【中国聯通香港】「 中国 本土31省と 香港 8日間 無限 上網 Data通信 専用 プリペイド/SIMカード 」
- 出版社/メーカー: 中国聯通香港
- メディア: エレクトロニクス
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8日間、最大2GBの通信ができるもので、1,200円前後で販売されている。2GB使い切ったのちにクレジットカードでチャージもできるが、リチャージするよりこのSIMを複数枚使った方が安い。SNSを使いまくったりテザリングをしたりすることを考えているのであれば、複数枚持っていくことを検討しよう。(もちろん同行者とまとめ買いしてもOK)
SIMロックを解除してはじめてのスマホを持っていく場合、渡航の前日に使う予定のスマホに刺してみよう。前述の通り SIM ロック解除の状態を反映させるためには WiFi や解除コードが必要なので、自宅などでやっておくとよい。
「圏外」の表示になれば成功だ。(日本では電波を掴まないので "圏外" は正しい。SIMエラーなどの表示が出ている場合は正しく解除できてない)
トラブルがあったときに何とかなるよう、前日の日中 (通信事業者の窓口が営業している時間帯) にやるのがオススメだ。
SIMロックが解除できなかった場合
SIMロックの解除ができなかった場合は海外パケット定額サービスの利用を検討しよう。
- NTTドコモ: パケットパック海外オプション ※事前に加入手続きが必要
- au (KDDI): 世界データ定額 ※事前にデータチャージの加入手続きが必要
これらのサービスは 980円/24時間 で、auの場合は毎月1日目の利用料金が値引きされる。
ソフトバンクとY!mobile は 1暦日2,980円の「海外パケットし放題」が利用できる。加入手続きは不要だ。(ドコモとauで上記の加入手続きを忘れた場合も、ソフトバンクと同等の条件のパケット定額が適用される)
MVNO(格安SIM)など海外ローミングができず、かつSIMロックが解除できない (中古のロック済みスマホを使っている場合) は WiFi ルータを借りよう。例えば GLOBAL WiFI の "特別回線" と書いてあるプランは香港を経由して通信するのでグレートファイアーウォールの影響を受けない。
現地での使い方
中国聯通香港のプリペイド SIM カードの使い方は以下の通り
1. SIMカードを本体に挿入する
SIM ロックの初回解除に WiFi やロック解除コードが必要になるので渡航前にやってみるとよい (前述)
2. データローミングをオンにする
香港 SIM を買った場合、香港地域内では不要。(ただしオンにしても特に弊害はない)
3. iPhone で MVNO(格安SIM) を使っていた場合、プロファイルを削除する
キャリア (ドコモ, au, ソフトバンク, Y!mobile, UQ mobile) で利用していた端末では不要。日本に戻ってきたらプロファイルの再ダウンロードが必要になるので、ダウンロードの仕方を予め確認しておくとよい。
4. Android の場合、APN の設定が必要なことがある
- 設定 → その他の設定 → モバイルネットワーク → アクセスポイント
- 右上 + ボタンを押す
- 名前: 3gnet 、 APN: 3gnet
- 右上のメニューから「保存」を選ぶ
- 一覧の右端 ◯ をタップして ◉ にする
上記の設定をして 2 〜 3 分ほど放っておくと繋がるようになる。
ドコモのパケットパック海外オプションの場合
1. データローミングをオンにする
2. WiFi を切って http://c.dkaigai.jp に接続し、利用開始操作をする (海外に到着すると届くSMSにもリンクがある)
auの世界データ定額の場合
1. データローミングをオンにする
2. WiFI を切って任意の Web サイトを閲覧しようとすると利用開始ページに切り替わるので、そこで利用開始操作をする
「Googleマップが使える」と「Googleマップが役に立つ」は違う
これらの方法を使うことで中国でも Google や LINE などが使えるようになった。しかし Google マップや LINE が中国で役に立つかというとまた別の話である。
地図: 百度地図 (baidu map) をインストールしよう
Google が中国でのサービスを打ち切ってから9年。その間、地図などのデータはほとんど更新されていない。
最新の地図を使うには Baidu Map (百度地図) を入れよう。
UI は中国語だが、漢字が読めることが幸いするのと、漢字を簡体字 (中国で使われている文字) に自動変換してくれる機能があるので、中国語がわからなくてもなんとかなる。
上記では「桃园 (táo yuán)」という駅への経路を検索しているが、日本語の漢字で「桃園 (ももぞの)」と入れても自動的に正しい文字に直して検索結果を出してくれる。
連絡手段: WeChat を入れる
上記の通りプリペイドSIMを使えば LINE や Messenger が使えるが、現地の人は主に WeChat を使っているのでインストールしておくとよい。
WeChat を使い始めるには電話番号認証が必要なので、日本国内で登録しておくとよい。
なお、現地では「微信 (ウェイシン)」と呼ばれていて WeChat という単語はほとんど通じない。
メッセージを長押しすることで翻訳ができる。英語と中国語の相互翻訳は精度が高いので、自分は英語で、相手は中国語でやりとりするとかなりスムーズに伝わる。
なお Google 翻訳は中国大陸でも VPN なしに使える。こちらも英語と中国語の相互翻訳のほうが精度が高い。
Q&A コーナー
Q1. WeChat Pay やモバイクなど、中国のスマートなサービスを体験してみたい
サービスによって異なるが、おおよそ
- WeChat が使えること
- WeChat Pay または Alipay が使えること
- 中国大陸の携帯電話番号がある
- 中国大陸の銀行口座がある
- 中国大陸籍の身分証が必要
の5段階のハードルがある。ほとんどのサービスは 3 まで頑張る必要がある。
上記手順で登録できないときはAlipay を試してみよう。
※ eSender は登録後パスポートの情報ページ (顔写真があるページ) を送る必要がある。eSender の公式アカウントのチャット画面から写メを送ろう
なお、ライドシェア/タクシーのDiDi(滴滴出行)は運転手から電話がかかってくるので、SMS しか使えない eSender では無理。中国大陸でプリペイド携帯をする必要がある。
旅行者が銀行口座を開設することは非現実的。就労者や留学生は口座開設ができるので、この際に深圳大学への留学はいかがだろうか。
Q2. 香港で SIM は買える? 中国大陸では?
香港で売られている SIM の中には、中国大陸で使えるものとそうでないものがある。今回取り上げた中国聯通香港以外に中国移動香港 (CMHK) も中国大陸で通信できるプリペイドSIMを販売していて、香港空港ではこちらを購入することができる。
ただし中国移動香港のSIMはAndroidで低速通信になることがある (TD-LTE への対応が必要で、それがないとGSMになる) こと、中国聯通香港の中国大陸用SIMは深水埗(シャムスイポ)などでしか買えないことを考えると、日本で事前に入手することを強く推奨する。
一方、中国大陸では基本的には購入できない。上海や北京などから入国する場合、香港以上に事前の入手が必須といえよう。
Q3. 最近 iPhone XS を分割払いで購入したばかり。SIM ロック解除できますか?
キャリアの分割払いは一括精算をすることができる (その際にクレジットカードが利用できる)。一括精算してからSIMロックの解除ができるようになるまで時間がかかることもあるので、早めにキャリアショップに相談しよう。
Q4. Wi-Fi ルーターはどうですか?
充電の管理が煩雑になるのであまりオススメできない。どうしても持っていく場合は1人1台で。グループで共有すると、トイレに行くことすらままならないので……。
WiFi ルータを購入するのであれば Battery Wi-Fi MF855 がオススメ。
SIMフリーモバイルWi-Fiルーター Battery Wi-Fi MF855 日本版 7800mAh大容量バッテリー搭載
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この機種は中国大陸の周波数帯にバッチリ対応しており、中国移動香港と中国聯通香港どちらも利用可能である。
Q5. SIM フリー携帯を買おうと思います。どれがいいですか?
日本で売っていて、中国の周波数帯に最適化 (TD-LTEを掴める) されていて、DSDS (SIMを2枚刺して同時に使える) を満たす機種はこのあたり。
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HUAWEI P20 は TD-LTE と TD-SCDMA に対応していて、かつ日本の周波数帯もフルカバーしている。執筆時点で 55,530 円とハイスペックにしては買いやすいのがよい。
HUAWEI 6.0インチ Mate 10 Pro SIMフリースマートフォン ミッドナイトブルー【日本正規代理店品】
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- メディア: エレクトロニクス
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一世代前のフラッグシップ機 Mate10 Pro もオススメ。こちらは執筆時点で 52,900 円で P20 よりメモリの搭載量が多い。
中国の周波数帯の最適化を諦め、中国聯通香港 (今回取り上げているプリペイドSIM) のみでよくなると、2万円台から買えるようになる。
ZenFone Max M1 【日本正規代理店品】 5.5インチ / SIMフリースマートフォン / ディープシーブラック (3GB/32GB/4,000mAh) ZB555KL-BK32S3/A
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ZenFone Max M1 は2万円台中盤で買える SIM フリースマホ。デュアルSIMに加えて microSD カードスロットがあるという珍しい機種。(他のデュアルSIM機は、2枚目のSIMがmicroSDと排他設計になっていることが多い)
モトローラ SIM フリー スマートフォン Moto G6 Plus 4GB/64GB ディープインティゴ 国内正規代理店品 PAAT0026JP/A
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Moto G6 Plus は3万円中盤になるが、 Snapdragon 630 と中位のCPUを積んでいて、処理能力が高め。WiFi も 5GHz 帯に対応している。普段使いするならこちらを選ぶのもよいだろう。
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iPhone も 7 であれば中古で 4万円以下で買えてしまう。iPhone は世界中の周波数帯をフルカバーしていて、OS のサポートも長いので中古で構わなければ iPhone を選ぶのもよい。
※ HUAWEI P20 lite は DSDS に対応してないので今回は取り上げてない
Q6. eSIM を積んだ世界対応 WiFi はどう? (GlocalMeなど)
GlocalMe など、世界の eSIM を自動的に契約してくれる WiFi ルーターがあるが、こちらではグレートファイアーウォールを回避できないことがある。
これらの eSIM WiFi ルーターは提携先の事業者が中国大陸であるか香港であるかを指定することができないため、確実な回避を保証することができない。また eSIM 技術は発展途上のため SIM のダウンロードに時間がかかったり挙動が怪しくなることがある。オススメできない。
Q7. 中国旅行のついでに香港、マカオ、台湾にも立ち寄るつもり。使える?
今回紹介している中国聯通香港のSIMはマカオ、台湾では使えない。(香港では使える)
代わりに候補になるのが AIS の SIM2Fly。日本、中国、香港、マカオ、台湾、韓国、マレーシア、シンガポール、ラオス、スリランカ、インド、フィリピン、ミャンマー、オーストラリア、ネパールで使える。値段は 4GB で 1,600 円程度
ただし中国では中国移動にローミングするため、TD-LTE と TD-SCDMA への対応 (B38, B39, B40, B41) が必要である。iPhone (6s以降) ならば問題ないが、Android の場合は事前に確認が必要だ。Android を使っていて周波数帯のことがよくわからない場合、オススメ通り中国聯通香港のSIMを買った上で、マカオや台湾の現地で SIM を買うことを勧める。(これらの国では簡単にSIMが買える)
結びに
総務省の方針もあり、今やほとんどの機種でSIMロックを解除できるようになった。また中国聯通香港のSIMが安定して入手できることから、通信手段に悩む必要はなくなった。
一方、中国に多くの人が訪問するようになったことで、SIMロックの解除を有効化するために WiFi が必要であることや、中国大陸では Google マップが役に立たないことなど、最近は丁寧な説明が求められるようになってきた。
中国での通信事情について、新たな情報があり次第更新する。