第7回 ニコ技深圳観察会(2017/04)参加レポート: テクノロジーに夢と可能性を感じるエコシステム

2017年4月3日〜8日にかけて、tks さんが主催している、「ニコ技深圳観察会」に参加してきた。私は去年に続き、2回目の参加となる。

集まった方は非常にバラエティに富んでおり、ハードウェアエンジニア、Webエンジニア、記者、VR/MR開発者、ファッションクリエイター、経済研究者など非常に多岐にわたり、とても貴重な時間を送ることができた。

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今回訪問させていただいた先の個々のレポートについては他の方から詳しくあがると思うので、今回のツアーを通じて感じたことを中心にレポートさせていただく。

TL;DR (この文章で言いたいこと)

深圳は「テクノロジーで未来がよくなる」と本気で思っている人が多く集まったことにより、イノベーションを連続的に生み出すエコシステムが成立している。

このエコシステムは「工場が安い」「大きな電気街がある」ことが理由で成立しているわけではない。(現に工場の賃金は相当上昇しているし、電気街で仕入れた部品をプロダクトにすることは稀である)。テクノロジーと人との繋がりを最大限に活かして迅速にプロダクトアウトまで持っていける能力が、まさにイノベーションの源泉であり、深圳のエコシステムはこの能力を最も重要視している。

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本レポートでは、この「深圳のエコシステム」について、今回の観察会で感じたこと、またこの1年、幾度と深圳に足を運ぶ中で気づいた変化についてまとめていく。

ハードウェアスタートアップからテクノロジースタートアップへ

バブル期に日本企業から家電やゲーム機の製造を引き受けていた工場は、受託を通じて自分で回路を起こせる技術を持ち、やがて「山寨」(シャンザイ)と呼ばれるコピー商品を作るようになった。Amazon楽天で見かける、ブランド不詳のモバイルバッテリーや Bluetooth スピーカーなどが一例である。こうした商品は、回路設計や部品が会社を跨いで出回っていることから、非常に少ない手間で量産し、出荷できてしまうことから競争優位性に乏しい。既存のハードウェアの真似では儲からないし、少々イノベーティブなハードウェアをつくったとしても、そう時間が経たないうちにハードウェアは真似されてしまう。

いま生き残っている深圳の企業は「他社が追従できないレベルまで品質を高めたハードウェアを売る」か、「ハードウェアだけでなく、周辺サービスやソリューションを含めたテクノロジー全域でプロダクトをつくる」ことができている会社だと思われる。

3日目に訪れた Insta360 は、全天球カメラ (360°カメラ) を手がけるスタートアップである。彼らはカメラというハードウェアだけでなく、付属のソフトウェアが大変作り込まれていて、(中国のハードウェアなのに) Facebook や Periscope (Twitter のライブ中継サービス) を用いて 360°動画のライブストリーミングができるようになっている。また、全天球カメラのユーザー投稿型サイトも運営しており、ユーザ同士のコミュニティも形成されている。ソーシャル上に占める全天球動画のアップロード数では SamsungRICOH といった大企業を差し置いてトップのシェアを誇っている。

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また、1日目に訪れた、日本向けに IoT / ICT デバイスの製造受託を引き受けている JENESIS も「ハードウェアは極力単純化してソフトウェアやクラウドサービスのレイヤーで差別化を図る」ことを勧めていた。JENESIS は深圳に既にある回路設計や部品を最大限活用し、まさにエコシステムに乗っかるかたちで、コモディティ化されたハードウェアを迅速に、かつ日本の顧客が満足できる品質 で供給してくれる。スタートアップ企業は、ソフトウェアとクラウドサービスの開発にフォーカスできるようになり、テクノロジー全域で勝負することができるようになるだろう。

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3日目に訪れた Ash Cloud は、スマートフォンのアクセサリを梱包する会社だが、その工程の管理がとにかく卓越している。自社でつくった iOS で動く生産管理システムは、従業員の勤怠管理から生産性のトラッキング、さらにはラインの管理まですべてを網羅している。ラインごとの生産性、すなわち生み出す収益はリアルタイムで算出され、効率の悪いラインは速やかに工程や人員の見直しが行われる。また、ロボットでも業務が行われており、ロボットが人間の能力を上回った仕事から順に、労働者がロボットに置き換えられていくとのことだ。

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テクノロジーがすべてを支配する様は恐怖すら感じるが、ハードウェアの生産に対して過剰なほどソフトウェアテクノロジを注ぎ込むことにより、生産効率を飛躍的に向上させ、競争優位性を確保しつづけている。

テクノロジーが都市を変えていく

もともと中国のフィンテックサービスを研究していたため、今回、ツアーに参加される方に WeChat Pay の利用を勧めていた。

WeChat Pay はチャットアプリ「WeChat」で支払いや送金ができる機能であるが、これを用いた数多くのサービスが深圳にあり、実際に深圳市民の多くが利用している。

スーパーやコンビニなど WeChat Pay を導入している店舗において支払いができるのはもちろんのこと、「QRコードを読み取ることで、対面で送金ができる」機能があることから、小規模な商店や屋台、露店に至るまであらゆる場所で、WeChat Pay を用いてお金を受け渡すことができる。

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もちろん日本でも Suica やクレジットカードなどの決済手段は存在するが、店舗は加盟店として登録する必要がある他、専用の機器の導入や手数料の負担など導入のハードルは高い。そのため非対応の店が相当数出てしまう。WeChat Pay の対面送金機能は、まさにその穴を埋めるものであり、「お金を渡す」行為のすべてが WeChat Pay でカバーでき、本当に現金を使わずに生活ができてしまう。

さらに、WeChat Pay はネット越しにお金をやりとりできるため、さらにユニークなサービスも生まれている。

深圳の街中を歩くと、オレンジや黄色、青などのカラーに包まれた自転車が多数置いてあるのを見かける。これはシェアリング自転車であり、使いたい人は自転車についたバーコードやシリアル番号をスマートフォンのアプリで読み取り、WeChat Pay で精算することで自転車に乗ることができる。自転車を返す場所は特に決まっておらず、適当な駐輪スペースに停めてアプリを操作すれば返却したことになる。また、自転車を故意に損壊することを防ぐため、WeChat Pay で保証金を預ける必要もある。これらのサービスとして有名なのは Mobikeofo である。

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また、レストランに行くと机の上に QR コードが貼られていることがある。この QR コードはテーブルごとに異なっており、WeChat アプリでスキャンすることで、スマートフォンに表示されたメニューから食事をオーダーすることができる。もちろん決済は WeChat Pay で行われる。すなわち「メニュー本を見る」「店員を呼ぶ」「店員がターミナルに打ち込む」「伝票を持ってくる」「精算する」という一連の流れが WeChat アプリで完結してしまうのだ。

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こうしたサービスが生まれ、深圳の街に定着したのはこの1年ぐらいの出来事である。レストランの QR コードオーダーはまだこなれてなく、注文が忘れられてしまうこともあってご愛敬だが、そういった buggy な部分も含めて「便利そうだから、まずは使ってみよう」というのが深圳という都市で見られる光景である。

エコシステムを支える STEM 教育と maker space

新しいテクノロジーを作るのも人間であるし、また活かすのも人間である。深圳で起きるイノベーションの数々を見ても、またWeChat Pay の浸透をみても、こうした層が非常に厚いと感じる。もちろん年齢層が若いというのもあるが、それで説明がつかないほど彼らのレベルは高い。

Makeblock は深圳を拠点としたメイカー向けの DIY キットを手がける会社で、Makeblock をはじめいくつかの DIY キットを Kickstarter でローンチし、現在は Amazon などを通じて世界に販売している。

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Makeblock は組み合わせ可能なハードウェアに加え、言語を記述しなくてもプログラミングができる mblock というビジュアルプログラミング環境が付属しており、これを用いることでブロックを実際に動かすことができる。こうしたことから、教育機関での採用例が多く、STEM (Science TEchnology Mathmatics) 教育のカリキュラムとして採用されることが多い。実際に教育機関で扱いやすいよう、教材や教師向けの手引き、学校用の一括導入パックまで整備されている。

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メイカーの祭典である Maker Faire は、メイカーがコミケのようにブースを構え、自主制作のプロダクトを発表する場であるが、今回の観察会後に訪問した Maker Faire Hong Kong (香港は深圳の隣にある) では、多くのメイカーが子ども向けに体験ブースや教室を開いており、実際に小学生から中学生程度の人を多く見かけた。また出展する側も高校生〜大学生がかなりの部分を占めており、テクノロジーを探求する若年層の厚みを感じた。

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また深圳にはメイカースペースと呼ばれる、メイカー向けに機材を揃えたレンタルスペースが数多く存在する。2012年に深圳で最初のメイカースペース Chaihuo が生まれ、最近ではメイカーやイノベーター向けに特色のあるメイカースペースが出てくるようになった。Trouble Maker のように、スペースや機材だけでなく、ファンドとのリレーションから法務サービス、プロモーションビデオ制作、流通などをワンストップで提供する場所が出てきた。Chaihuo x.factory ではメイカー向けの教育やコンサルティングのプログラムを充実させている。メイカーのステップや目指す方向性によって異なるニーズを、それぞれのメイカースペースが解決できるようになってきた。

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イノベーションの担い手を歓迎する街

迅速なプロトタイピングを支援するメイカースペース、スマートフォンを用いたフィンテックサービス、少数生産に特化した工場など、いずれも深圳のエコシステムにおける特徴的なファンクションであることは言うまでもないないが、その背景にある「イノベーションを支える仕組み」が最もユニークで重要なものであると思う。

イノベーションを支える仕組みの根幹にあるのは、ハードウェアであれWebサービスであれ、何かを生み出そうとしている人を支えたいという気持ちに応えようという機運が高く、そのために実際に行動する人がいること。そして行動する人同士でつながる強固なネットワークが存在することだろう。

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HAXやChaihuo、SEGなどはサービスとして試作空間や資金、セミナーを提供するだけに留まらず、何か新しいことを手がけようとする我々に対し、本気で相談に乗り、WeChatでコミュニティに引き合わせてくれ、取り組みに対して惜しみない支援の手を差し伸べてくれる。

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ニコ技深圳観察会そのものも高須さんをはじめ、参加者相互による手作りのツアーであるが、そうした企画に対して最大限協力してくれるのが、まさに深圳のコミュニティである。
また、私自身も日本のインターネットスタートアップ企業のチームを引き連れてプライベートな観察会を何度か手がけているが、この取り組みに対しても、深圳のコミュニティから多くの支援をいただいている。

サービスで支えてくれる会社もある。前述の JENESIS は、日本交通や大手の教育機関などからそれなりのロット(製造単位)でハードウェアの製造を請け負う会社であるが、ベンチャー企業については別の観点で引き受けを考えてくれる。採算やスケジュールなどの観点ももちろんあるが、いちばん重要視しているのは「事業に対する作り手としての熱意」であると JENESIS 代表の藤岡氏は語る。熱心なイノベーターに対して寄り添う姿勢は、ここに限らず深圳のあらゆる場所でみることができた。

イノベーションの現場に変貌する深圳

「深圳の1週間はシリコンバレーの1ヶ月に相当する」と言われているほど変化の速い深圳。初めての訪問はちょうど1年前のニコ技深圳観察会であり、そこから訪問を繰り返していく中で多くの変化を感じ取ることができた。その中でも特に印象的だったのは、深圳を起点にエコシステムと市場を世界に広げようとする人が増えたことではないだろうか。DJIは言うまでもなく、Insta360 や Makeblock などは海外向けにプロダクトを輸出し、世界的なコミュニティの醸成に成功している。街中をみても1年前に比べ、英語が通じるシチュエーションは増えているように感じる。そして、そのエコシステムを活かそうと全世界から人々が集まりつつあるのが今の深圳だ。

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テクノロジーに夢と可能性を感じ、最速で進化を遂げる街、深圳は急速に世界のイノベーションの現場に近づいているように感じた。

 

中国に住んでない僕らが WeChat Pay を有効化して使う方法 (中国大陸の銀行口座不要)

【おことわり】本来中国大陸*1の居住者向けにサービスされている WeChat Pay を非居住者の外国人が勝手に使う方法を解説した記事です。残高の損失を含め、あらゆるリスクがあることを理解し、自己の責任でお楽しみください。筆者は一切の保証をしません。

今や中国はモバイル決済の最先進国。コンビニやスーパーはもちろん「目の前の人とQRコードでお金のやりとりができる」おかげで、屋台や個人タクシーでもスマホひとつで決済できる。

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中国のモバイル決済だとアリペイ(Alipay, 支付宝[zhī fù bǎo]) が有名で、日本でもローソンや免税店、家電量販店で青いステッカーを見たことがある人も多いだろう。しかし、これを使うには原則として中国大陸の銀行口座が必要なので、中国に定住してない人には難しい。

一方、WeChat のペイメント機能である WeChat Pay (微信支付[wēi xìn zhī fù]、ウェイシンジーフーと発音する) は、中国大陸の銀行口座がなくとも、日本のクレジットカードで登録できる。

今回、WeChat Pay を使えるようにするまでの手順を紹介する。記事の執筆にあたり、実際に有効化するまでの手続きをスクリーンショットに収めて提供してくださった @kon_yu 氏に感謝の意を表する。

また、WeChat Pay はオフラインでは使えないので、中国に渡航する際は通信環境を用意しよう。中国で使える SIM や Wi-Fi ルーターの話はこちら。

WeChat で誰かから送金を受けとると Pay 機能が有効になる

WeChat Pay を使い始めるには、まず WeChat をインストールし、チャット機能を使えるようにする。その上で、WeChat Pay が既に使える人とチャットし、送金機能でお金を送ってもらう必要がある。

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1元(16円) でも0.1元でも大丈夫。届いたらオレンジ色の吹き出しをタップ。

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「領収書を確認」を押すと、本人確認を要求されるダイアログが出るので「Verify」を押す。本人確認の手続きは後述する。

送金してくれる人いないんだけど……

先に書いた通り、WeChat Pay を有効化すべく本人確認のプロセスに入るには、誰かから送金を受ける必要がある。周りにWeChat Payを使える人が誰もいない場合はどうすればいいだろうか、その場合は諦めることを推奨する。

WeChat Payを仮に有効化できたとしても、大陸の口座を持たない我々が WeChat Payにチャージする手段は、チャットか対面での送金機能を使うしかない。(日本のクレジットカードや銀行口座からはチャージできないし、Suicaのようにチャージできる機械もない)

既にWeChat Payの残高を持っている友達がいれば頼んでもよいし、中国国内であればホテルの受付や店員に現金を渡せば手伝ってくれることもある。

このように、およそ観光客が使うにはハードルが高いので、生半可な気持ちで始めるのはオススメしない。

日本のクレジットカードで本人確認できる

本人確認のフェーズでは中国大陸の銀行口座の番号を求められるが、2017/03/11 時点では日本国内で発行された多くのクレジットカードを入力することでも手続きを進められる。

前述の送金受取からの本人確認プロセスで「添加银行卡」(Add Bank Card) を選ぶ。

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次の画面で16桁のクレジットカード番号を入力する。VISAあるいはMaster Cardが通りやすいが、駄目なカードもある (登録時に失敗する) ので、うまくいかないときはこの画面に戻って別のカード番号を入れる。

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現時点で WeChat Pay に登録した日本のクレジットカードで買い物やチャージはできない。あくまで本人確認にしか使われないので請求があがることもないはず。とにかく通過すればよいという気持ちでいよう。

次の画面では、カードのセキュリティコード(裏面3桁)、有効期限、氏名、地域(国/都道府県)、住所、電話番号、メールアドレスを英語で入れる。

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デタラメを入れてしまうと何かトラブルがあったときに困りそうなので正直に入力したが、ここに記載した連絡先にコンタクトがあったことは一度もない。

ここで次に進んだときに「System Busy」などと表示された場合、入力したカードは対応してない。別のカードを試してみよう。(同じカードでも日によって使えたり使えなかったりすることも何故かあるが。)

支払いパスワードは絶対に忘れないように

正しく登録できた場合、6桁の支払いパスワード(暗証番号)を決める画面が出てくる。

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ここで入力した値は買い物や送金で使うことになる。忘れた場合にリカバリするには外国人にとって極めて困難な手段しか用意されてない (中国大陸の身分証カードを出すとか) ので、絶対に忘れないように気をつける。

以上の手続きで WeChat Pay を有効にすることができる。

QRコードをスキャンして支払う

さて、WeChat Payでの支払い手順を軽くみてみよう。まず代表的な支払い方は「QRコードのスキャン」だ。

店員に 「微信支付」(ウェイシンジーフー) と言うと QR コードを出してくれる。(レジであればウェイシンだけでもまず通じる)

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アプリ右上の[+]→[QRコードのスキャン]でカメラが立ち上がるのでQRコードを読み取ろう。

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店によっては金額を自分でいれる必要があることもある。金額が聞き取れない場合はスマホを店員に渡せば入力してくれる。

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最後に6桁の支払いパスワード(暗証番号)を入れれば完了だ。

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飲食店では、テーブルごとに異なるQRコードが貼り付けられていて、注文から決済までスマホ上で完結するような仕組みもある。オンラインとオフラインをシームレスにつないでいて大変エキサイティングだ。

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大規模チェーンではバーコードを読み取ってもらう

ファミリーマート、ケンタッキーやマクドナルド、イオンなどの大規模なチェーン店ではアプリで生成したバーコードを店員に読み取ってもらうこともある。

[+]→[マネー]でバーコードが表示される(初回は確認画面や暗証番号の入力がある)ので、それを店員に見せてバーコードリーダーで読み取ってもらおう。Suica顔負けの爆速で決済がなされる。

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店員がバーコードリーダーをスマホに向けると、瞬時に決済される。

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[+]の中にマネーが見当たらない場合は、 [本人]タブ→[ウォレット]→[マネー]でも遷移できる。(WeChat Pay登録直後は表示されないことがある)

なお、日本国内でも免税店や家電量販店などで「WeChat Pay で支払えます」の看板をみかけることがあるが、この手順でつくったアカウントの残高では支払えない。 (日本など、中国大陸以外の地域で展開している WeChat Pay の加盟店は、中国国籍で登録したアカウントでしか支払えない) 中国大陸に渡航したときに使おう。

お金を受け取ろう

WeChat Payの機能でいちばんぶっ飛んでいるのが、先ほどのマネーの中にある「お金を受け取る」機能だと思う。

[+]→[マネー]→[お金を受け取る]で、あたかも商店主のように、目の前の人からお金を送ってもらうことができる。

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このスクリーンショットは実際に機能するもので、これをスキャンして金額を指定すると僕にお金が届く。

先ほど「中国大陸の口座がないとチャージができない」といったが、ホテルや街中の人に現金を渡してこの画面を見せ「この現金でWeChat Payにチャージしてほしい」と頼めば、まさに対面チャージができてしまう。

深圳(深セン)では、タクシーも屋台のおばさんも当たり前のようにこの機能を使ってお金を受け取ってくれる。これをもって「財布のいらない街、深圳」が実現している。

注意事項、おことわり

対面決済やQRコードを用いた便利なサービスが体感できる WeChat Pay だが、基本的には中国大陸に住む人向けのサービスであり、旅行等で訪れる外国人は対象にしていない。

したがって、いつ残高が使えなくなるかわからないし、トラブルがあったときも自分で解決しなくてはならない。よって、最悪「呑み込まれてしまっても泣かない」程度のお金でやるべきだと思う。この記事をもとにして行動した結果、何がおきても筆者は責任をとれない。

そんなハードルを超えてでも、独自の進化を遂げる中国のモバイルペイメントは一見の価値があると思う。

*1:香港、台湾を除く中国全土。政治的な意味で表記しているのではなく中国のWebサービスにおいて「香港、台湾以外の中国で使える」旨を表記するときに"中国大陆"と記載されることが多いので、本稿でもそれに倣った

【2017年版】中国で Twitter/LINE ができるモバイル環境 (スマホ/プリペイドSIM) まとめ

深圳 (深セン) をはじめ、中国大陸に行く機会が増えたことから「中国 深圳に行くためのモバイル環境(スマホ/SIM)の準備まとめ」というエントリをまとめてから1年ちかくが経ち、状況が変わってきたので最新の事情にアップデートする。

早見表

これらの理由については後述する。

香港や日本のSIMでローミングすると中国大陸でもTwitterが使える

「中国大陸ではTwitterGoogle、LINEが規制されている」というのは聞いたことがあると思う。一昔前はVPNやプロクシで回避できたが、最近は本当につながらない。日本の空港で借りられるポータブル Wi-Fi ルーター (イモトのWi-Fiみたいなやつ) や現地のホテルで使える Wi-Fi では、TwitterGoogle は使えないと考えた方がよい。

この制限は国際ローミング (いわゆる "海外パケ・ホーダイ") で回避できる。従って、ドコモ/au/ソフトバンクスマホであれば、1日あたり2,980円を支払うことでTwitterやLINEができる環境を手に入れることができる。

しかし1日2,980円、数日つかえば万単位の課金となってしまう。そこでオススメなのが香港の通信キャリアが販売しているプリペイド SIM 。日本の Amazon でもすぐに手に入る上、2,000 円程度で 7〜10 日間使えて旅行にちょうど良い。本エントリでは「香港のプリペイドSIMを使って中国大陸でスマホを使う」方法を解説する。

スマートフォンまたはWi-Fiルータの用意

国内で販売されているスマートフォンSIMロック解除する場合

日本の通信キャリア (NTTドコモ, au, ソフトバンク) で買った iPhoneAndroid を SIM ロック解除して、香港の SIM を使うことができる。キャリアごとの解除方法および対象の機種は以下の通りである。なお、SIMロック手続きにかかる費用は下記のリンクにある各社の Web サイト (スマホからはアクセスできない) で行えば、原則として無料である。

iPhone の場合、SIMロック解除の手続き以外の操作は不要であるが、Androidの場合は手続き時完了時に受け取るロック解除コードを控え、他国のSIMカードをはじめて刺すときにその番号を入力する必要がある。

また、iPadテザリング機能を Wi-Fi ルーターの代わりに使うという手もある。日本国内で販売されている iPad は、国外 SIM フリーとなっており、特に手続きをせずとも香港の SIM を刺せば使える。

SIMフリーの通信機器を買う

あいにく現在利用中の機種がSIMロックを解除できない場合は「SIMフリーの通信機器を買う」か「今の契約のまま国際ローミングをする」のどちらかとなる。

SIMフリーの通信機器で、一番安く手に入るのはおそらく ZMI の Battery Wi-Fi だろう。

中国の通信事業者で用いられる周波数帯 (チャンネル) に適合し、かつ大容量のバッテリを搭載しスマホの充電に使えることから、旅行での使い勝手が極めてよい。値段も1万円しないので、3-4日で国際ローミングの元がとれる。

より深圳に入り浸るのであれば、中国渡航用にスマートフォンを買ってしまうというのも選択肢に入る。中国の Web サービスの多くは中国の電話番号を必要とし、また行儀の悪い (通知が多かったり挙動が怪しい) アプリも多いので、専用のスマートフォンを用意できると捗る。「中国で4G通信ができ、SIMが2枚 (中国番号用と香港ローミングデータ通信用) 刺さる機種」という観点でみてみよう。 

ASUS の ZenFone 3 Max は、2万円台前半で手に入るミドルレンジ機種だ。 microSIM スロットと nano SIM スロットの両方を備え、中国聯通香港の LTE (B3 / B38) に対応している。

Xiaomi の Mi5 は 3 万円台中盤になってしまうが、映りの良いカメラ、4G+3G 同時待ち受け (日本の LTE を掴みながら中国SIM をローミングして SMS も受信できる) ので、予算が許すのであればベストな選択である。

SIMの準備

中国移動香港、中国聯通香港ともに 4G に対応したプリペイド SIM を発売している。この2社は中国で使っている周波数帯が異なることから、機種によりどちらか適切なものを選ぶ必要がある。

iPhone 6 以降 / iPad (Pro, Air2, mini4) / Battery Wi-Fi の場合

中国移動香港の "4G/3G 中国・香港10日間 1.5GB データプリペイド SIM" を買う。

中国国内では TD-LTE の B39 / B40 / B41 という周波数帯でサービスしていて、これに対応する機種は iPhoneiPadBattery Wi-Fi ぐらいしかない。

(他に Nexus 5X や Xiaomi などの機種などが対応している。スペックなどを確認して上記周波数帯に対応してることが確認できれば、このSIMを買えばよい)

このSIMは、香港国際空港 (ターミナル1, 到着階) で購入することができ、SIMフリー iPhone を店員に渡せば設定もしてくれるので、非常に便利である。また、中国最大手キャリアのため、エリアも広い。

香港国際空港で買う場合は "prepaid data sim for main land and hong kong please" などと言えば出てくる。が、入手に不安がある人、また深夜早朝帯など店が営業してない時間帯に到着する予定の人、そもそも香港国際空港以外のルートで中国大陸に入る人は Amazon で事前に買っておくとよい。

Android の場合

Android や、古い iPhone / iPad の場合は中国聯通香港の "中国本土31省と香港7日間 2GB データプリペイド SIM" を買っておけば間違いない。 

W-CDMA, LTE ともにメジャーな周波数帯 (B1 / B3) で運用されており、ほとんどすべてのスマートフォンで通信ができる。ただし周波数帯が中国移動香港に比べて狭いからか、速度を遅く感じることもある。

香港国際空港では販売していない (香港市街地では買える) ので、事前に日本の Amazon で購入することを強く推奨する。

国際ローミング: auの世界データ定額もよい (期間限定)

ここまで、香港のプリペイド SIM を買う話を前提に進めてきたが、SIMロックが解除できない機種で、かつ渡航期間が短い場合は日本の SIM で国際ローミングすることも考えられる。

ドコモとソフトバンクが提供する海外用パケット定額サービスは1日2,980円だ。

暦日で課金されるので、 "午後ついて翌日午前まで使う" ケースでは2日分とられてしまう。

一方、auは世界データ定額というサービスを行っていて、こちらは24時間980円と、2泊程度であればプリペイドSIMより安く済ませられる。(しかも暦日ではなく、利用開始から24時間で980円だ)

残念なことに本来の対象国に中国は入ってないが、期間限定のキャンペーンで 2017/06/05 までは中国も対象になっている。

上記施策が恒久的なものであるのかは不明。

au 世界データ定額サービスの利用には「世界データ定額アプリ」を事前に入手し、国内で一度起動しておくとよい。(サービスの利用に必要な各種契約が済んでいるかを確認してくれる)

これら上記3社の国際ローミングサービスはキャリアのサービスであり、MVNO (格安SIM) では受けられないので注意。

mobikeを使いたい、中国の銀行口座を開きたいなら中国の電話番号

中国では携帯電話番号を用いた本人確認が行われることが多く、その場合に香港や日本の携帯番号は使えず、中国大陸の番号 (+86) が必要となることが殆どである。

シェアリング自転車の mobike (摩拜)、ライドシェアの Didi (滴滴) の利用には中国の携帯電話番号が必要。また Alipay を使ったり、WeChat Pay に入金するには中国の銀行口座が必要だが、その開設にも中国の携帯電話番号が必要になる。

中国の携帯電話番号を取得できる香港 SIM は市場に出回っているもの限りで、現在は 3G版の跨境王のみである。 (4G版跨境王は香港の電話番号しかついてこない)

ただ、跨境王はデータ通信の単価が高い上に LTE 非対応なので、前述のデュアル SIM 端末を活用し、データ通信用の SIM との 2 枚刺しが実用的と言えよう。

※ 3G版の跨境王は、中国聯通香港のキャリアショップで実名登録が必要なので注意。

なお、WeChat Pay のアクティベーションだけであれば中国の番号は不要なので跨境王を手に入れる必要はない。日本のクレジットカード (VISA/MasterCard) があれば日本国内からでも可能。

まとめ

Supership株式会社を退職した

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2016年12月31日をもって、私 shao1555 こと澤田は Supership を退職した。前身となるビットセラーを川村氏と共同設立したのが2011年。最初の4年はビットセラーの経営者として、直近の1年はSupershipの従業員というかたちで5年ほど関わらせていただいた。

ビットセラーの設立から取締役を退任するまでについては以下のエントリを参照していただきたい。

Supershipという会社でやってきたこと

Supershipは、KDDIの出資により、アドテク企業のスケールアウト、ハウツーメディアなどを運営するnanapi、そしてビットセラーの3社が合併してできた企業だ。さらに今月 (2016年12月28日)、動画広告を手がけるアップベイダー、ECの接客プラットフォームを手がけるSocketもここに合併することが発表された。

多くの会社を一つの旗標のもとに集結させ、広告とメディアの両面をを広くおさえることで、インターネット領域で強い存在感を示しつつある。

そんな経緯でSupershipに多種多様なバックグラウンドのメンバーが集まっていることから、現場には様々な価値観や手法が入り交じっている。それらを掛け合わせることで業務が効率化することもあれば、時には軋轢を生むこともある。

僕はいちエンジニアとして実装の傍ら、各所のよいところを集めて開発プロセスの整理をしてきた。それに加え、テクノロジーを開発の現場以外、日々の煩雑な業務などにもあてはめ、社内の業務負荷を軽減する取り組みを推し進めた。

幸いなことに、Supershipは意思決定が速く、試行錯誤を繰り返していく中で業務効率を改善する施策を数多く打ち出すことができた。また、こうした取り組みは社内全体に広がりつつあり、多くの部署で業務負荷の低減に向けて取り組むようになった。

Makers for Workplace という考え方

ソフトウェアの開発においては、コンポーネント化とオープンソースコミュニティの興隆により、アリモノの部品を組み合わせることで機敏な開発プロセスを構築できるようになった。

インターネットインフラでは、Amazon Web Services に代表される IaaS により、高額なハードウェアの購入なしに、必要なリソースを即時に調達することができるようになった。

ハードウェアの領域では agile manufacuring や公板 / 公模 といわれる再利用可能なモジュールの流通が存在する (参考: 深圳のエコシステム) ことにより、多種多様なプロダクトが生まれ、イノベーションの源泉になっている。

ソフトウェア、ハードウェア、インターネットサービスに一貫して再利用可能な部品が大量に存在し、低いコストでシステムを構築できるようになったというのは非常に重要な変化である。こうしたコンポーネントを組み合わせ、ガレージからハードウェアを創り出す活動のことは「メイカームーブメント」と呼ばれている。

※ メイカームーブメントについて、 深圳観察会でお世話になった高須さんのスライド Maker Movement in Asia -Shenzhen, Singapore, ChengDu- がわかりやすいので紹介する

メイカーの原動力は「自分の生活をよりよく、より楽しくするための創造的活動」であり、大きな投資や専門知識を不要としたエコシステムの存在がこれを支えている。Supership では Slack の bot や IoT デバイス、Google スプレッドシートの自動化など、様々な DIY があちらこちらで行われていて、そのモチベーションは「自分たちの仕事をよりよく、より楽しくしたい」というものであった。それは、まさに職場で発生しているメイカームーブメントと言えるのではないだろうか。

次の挑戦: 社会のメイカーズを増やす

インターネットがパソコン通信より魅力的になったのも、スマートフォンガラケーを圧倒したのも、開発のための障壁が圧倒的に低くなり、成果を共有する仕組みがそこにあることから、作り手が身近な存在になったからだと思う。だから仕事のためのシステムもベンダーに発注するのではなく、自分たちでつくり、その成果を広く共有できるようになれば、圧倒的に楽しくて効率の良いものになると信じている。

Supership をはじめとしたエンジニアに恵まれた企業はRaspberry PiAmazon Dash ボタンでアクションを実行し、AWS で動作させ、G Suite (Google Apps) の社内ディレクトリを参照し、蓄積した過去のパターンをもとに TensorFlow が判断して Slack の bot と連携させるようなシステムを書けるが、世の中の多くの企業にとってはまだまだ敷居が高い話だと思う。

どんな (会社や役所などの) チームであっても、自らの手で仕事をハックし、その成果を広く社会に還元できるようにする。そのために必要なエコシステムを作るために、ここに Supership を飛び出して、新たな挑戦をはじめることとした。

具体的なプランについて

たいそうな話を書いてしまったが、今のところ「次にこれをやる」という具体的な内容は決まっていない。ノープランである。

向こう半年ぐらいかけて、次のアクションのために足元を固めていく所存である。前述の通り、再利用可能なモジュールはいくらでもあり、僅かなコストで挑戦することができる。まずは個人でできるところまで、プロトタイピングを進めていきたい。

幸いなことに、いくつかのお仕事もいただいており、こうした繋がりを最大限に活かし、計画をブラッシュアップしていきたい。

結びに

Supership ではチームメイトに恵まれ、幅広い仕事をやらせてもらったことで次の挑戦へのきっかけを得られた。今の会社では、僕の目指すステージ (自分の手で新たな挑戦をしたい) を実現することが難しいから退職することとしたが、とてもよいチームを抜けることとなり名残惜しさも否めない。ビットセラーから数えて5年余り、支えてくれたすべての方に感謝の念を表したい。

みんなが欲しがるような、そして自分が欲しくてたまらなくなるようなプロダクトづくりを目指し、来る年は全力で励んで行く所存である。

 

来年もよろしくお願いいたします。どうぞよいお年をお迎えください。

 

追伸: 次の仕事にむけて気になっているものをまとめました。ご覧いただけると幸いです。(最初の1時間、住所が正しく入ってなかったので直しました)

Amazon.co.jp: shaoのほしいものリスト

*1:ITエンジニアが退職エントリを書くときによく掲載される画像。ref: ssig33.com - この画像なんなの?  東亜飯店という店だが、現在は閉店してしまったようだ

僕の行動指針 - 楽しく生きるために苦労をいとわない

このエントリは 行動指針 Advent Calendar 2016 の 10日目です。

意識を高くして定めたものではなく、自分の欲望に忠実に生きようとしていく中で形成された指針なので、普遍的な高尚さはまったくありません。悪しからず。

楽しいことを選び続ける

僕は知的好奇心を満たすこと、ありていに言えば「新しい何か」に接することに楽しさを感じます。出会った瞬間にピークが訪れ、時間が経つにつれて色褪せていき、飽きて放り出してしまいます。モチベーションが下がる前に「次の楽しいこと」に関心を寄せるように意識しています。

次の冒険の準備をする

「楽しいこと」を貪欲に消費していく自分にとって、日常だけでは物足りなさを感じてしまいます。人と会う、新しい分野に挑戦する、日常以外のコミュニティと関わる、国内外に旅行する……そんな「冒険」をするためには、当然ながらまとまった時間、お金、体力が必要です。「仕事が忙しい」ことを理由に冒険から離れるのではなく、日々の生活の中で冒険に必要なリソースを確保できるように気を配っています。

楽しく生きるための苦労

「楽しい方」を選ぶ生活が楽しいか、と言われると必ずしもそうではありません。楽しさのために体力、気力、時間、お金を計画的に確保しつづけるための労力は惜しみません。裏を返せば、楽しい時間を過ごすために仕事をしています。

楽しさを分かち合う

願わくば、僕と一緒に仕事をする人も、「楽しさ」をモチベーションに仕事をしてほしいと思っています。そして仕事の受け手(お客さんなど)が製品から「楽しさ」を感じとってくれれば、これ以上幸せなことはありません。

 

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(写真は深圳のe-mobiliityをテーマにした店。皆が楽しく生きることに精一杯がんばっているこの街が好き)

まとめ

自分と周りの人が楽しいと感じられるような仕事にしか夢中になれないので、手持ちの「楽しい仕事」カードを切らさないよう、毎日がんばってます。

#NT金沢 でテスラの試乗会を開催しました

ニコニコ技術部による自主作品の展示会である「NT金沢2016」に関連し、金沢でテスラの試乗会を自主開催させていただきました。

もとはギーク向けに「テスラに試乗して感想をブログに書いてもらう」というルールで試乗会を開催していたのですが、今回は金沢にギークが集結するとのことで id:yumu19 さんに協力いただき、NT金沢にあわせて開催しました。

2日間で4回、16人にご参加いただいたのですが、実力派のギークばかりが集まったため、道中非常に濃い会話の連続で大変刺激的でした。

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今回、参加者の水野さんにより金沢市内の日産販売店と調整していただきテスラをリフトに載せて底部を観察する機会が設けられるなど、普段以上に濃い会となりました。(撮影: 水野さん)

みなさんの感想

参加してくださったみなさんに、感想のエントリをあげていただいております。(随時追加します)

くとのさん: テスラ Model Sに試乗させて頂きました – Imagination and Creation

Togetter にもまとめていただきました。

感想を書いてくださった方、ありがとうございます。いただいたエントリーは随時紹介させていただきますので、この機会に感想をアップしていただけると幸いです。

NT金沢、そして金沢の感想

体力配分が下手で、NT金沢本体を十分に見る時間をとれなかったのですが、ニコ技の「やってみたは正義」という出展者のオーラを強く感じる、刺激的な展示物が多かったです。特に骨格のやつすごい。

あと、金沢駅地下広場という、かなりパブリックな場所で開催されていたこともあり、家族連れなど地元の方がいらっしゃることが多かったのですが、電子工作のワークショップに参加したり展示物に積極的に触れたりと、あたらしいものへの興味関心が強い市民性を感じました。

観光の拠点としても、金沢駅前の交通案内が非常に優れていてはじめての人でも戸惑わない工夫がされているなど、非常に関心したのですが、そのへんは後日改めて見てみようと思います。

まとめとお知らせ

東京から600km近い道のりを経てNT金沢の会場に駆けつけたのですが、試乗会は定員一杯まで参加いただけ、また非常に強い関心を寄せてくださったことで、本当に行ってよかったなと感じております。都内を中心に引き続きギーク向けの試乗会を開催しますので、興味がある方はこちらのエントリを参考に、是非参加していただきたいです。

また、技術やガジェットをテーマにした創作活動をしている個人サークル「XD」にて、テスラの自動運転と体験会についてまとめた本をつくり、夏コミ (コミックマーケット90, 2016年8月14日 日曜日) に出そうと思います。

コミックマーケット90に当選しました - XD

鋭意制作中 (なのでコピー本だと思います) です。どうぞよろしくお願いします。

PSVRの体験で違和感を感じて眼科にいったら人生が変わった話

最新ガジェットに目がない筆者は、PSVRの予約開始日に量販店に並び初回販売分の予約をゲット。その足でPSVRの体験会に参加した。

追従性の高さは前評判通りで確かに酔わない。が、、、どうにもピントが合わない。筆者は左目と右目の視力が極端に違う「ガチャ目」なので、それが原因ではないだろうか。視力が悪い左目用にコンタクトレンズをつくってもらおうと、翌日眼科に足を運んだ。いきつけはなかったので、近所の眼科で設備が最新鋭っぽいところを Web で検索し「すがも眼科クリニック」に伺った。

眼科医に「VRで像がボケる」ことを告げたところ「視力と斜視の測定をしましょう」ということになった。

斜視とは,両眼の視線が正しく見る目標に向かわないものをいいます。外見上は片方の目が正しい方向を向いているのに,他の目が内側や外側,あるいは上下に向いている異常です。

目の事典・斜視

会社や免許センターで見るような測定機器とは一線を画した数々の装置で、眼球の位置や視線の方向、光源や残像がどう見えるかを調べる。また、いろんな種類のレンズをあてはめ、みやすさに違いがないかを調べる。

左目が近視なだけだと思っていた自分だったが、医師の診断結果は

  • 強い外斜視
  • 乱視
  • 左目の近視
  • 右目の遠視

と、実に4つの事象があることがわかった。その場でいくつものレンズを組換えながらテストしてもらい、適切なレンズの処方箋を出してもらった。

地元にある、(チェーン店ではない) 比較的歴史が長そうなメガネ屋に行き、メガネをつくってもらった。外斜視の補正や乱視に用いるレンズは特殊なので、手に入れるまで1週間かかった。

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こちらが仕上がったメガネ。レンズの鼻に近い部分が大きく盛り上がっていることがわかるだろうか。これは「プリズムレンズ」と言うもので、斜視でずれた目に像を届けるため、光を屈折させるプリズムが内蔵されたレンズ。今の技術ではコンタクトにはできない。

筆者はかなり強い外斜視なので、プリズムレンズのレベルを相当上げないといけないが、一気に高いレベルのものを装用すると日常生活に支障が出てしまう。なので、均しながらレンズを繰り返し作り直し、プリズムレンズのレベルを上げていく必要があるそうだ。

装用してみて

つけた瞬間、すべてのものが立体的に見えるようになった。指先から地面の凸凹に至るまで、クッキリと立体感を感じられるようになった。

今までずっと立体感を感じてなかったということになるが、そもそも立体感を会得したことがなかったため、立体感とは影の濃淡や像の大小で区別するものだと思い込んでいた。

おかげで、人とすれ違うときにフェイントのかけあいみたいになることもなくなったし、部屋を出入りするときにドアに体をぶつけることもなくなった。キャッチボールは苦手で大抵取り逃していたが、メガネをかけると軌跡がわかるようになった。

正しく設計されたメガネひとつで、視界から得る情報がこんなにも変わるものかと驚きを隠せない。

VRとの相性

PSVRは手元にないので、代わりに Gear VR で試してみた。

Gear VR でもピントが合わずに苦労していたが、プリズムレンズのメガネをかけたところ、ボケはほぼ解消し、立体感をしっかり得ることができた。(Gear VR の解像度は低いので、それがボケ感かもしれない)

VR目的でメガネを買うのであれば、フレームは小ぶりのものがよいだろう。 Oculusは推奨サイズの情報を出していて「幅142mm、高さ50mm」以内がひとつの目安と言える。

What size glasses fit in the headset? | Oculusサポートセンター

仮に外斜視の場合、プリズムレンズの矯正に数ヶ月かかることがある。PSVRの発売日の10月に間に合わせたければ、できる限りはやい段階からとりかかるとよいだろう。

まとめ

これまで外斜視があっても生活に不自由を感じたことがなく症状を発見することができなかったが、PSVRをきっかけに眼科にいくことで自分の眼の状況を的確に知ることができた。これにより正しいメガネを手に入れることができ、生活が大きく向上した。その変貌ぶりは大げさではなく「人生が変わった」と言えるほどだ。

今後、テーマパークのアトラクションなど日常生活でVRと接する機会が増えることが予想される。VRとうまく付き合うためには、以下のことを意識するとよいだろう。

  • VRに違和感を感じたら自己判断をせず、ちゃんとした眼科にいく
  • メガネやコンタクトは、メガネ屋の簡易的な検査機でつくるのではなく、眼科医に処方してもらう
  • メガネの有無に関わらず、VRが身体に与える影響は人それぞれなので、違和感や疲れを感じたらすぐにやめる

眼科医の先生方におかれても、VRについての知見を持っていただき、適切な診察を受けられるように準備をしていただければ幸いである。(本エントリーの執筆時点では、VRに詳しい眼科医を調べようとしたが情報がまったく出てこなかった)

PSVRがきっかけで外斜視がわかったというのも妙な話だが、外斜視は1-2%ほどのひとが持っていると言われているので、これを機に外斜視の人が適切なメガネを装用する機会が広がることを祈っている。

おことわり

本エントリーは医療情報の提供を目的とするものではなく、また特定の治療方法を推奨するものではない。