テスラを買った
誰もが2つ折りのケータイをつかっていた 2006 年「携帯電話はコンピュータを超える」と直感し、X01HT という Windows Mobile 5.0 が動くスマートフォンを買った。
あれから 10 年近くが経った今、スマートフォンはごく当たり前の存在となり、誰もがインターネットを常時持ち歩くようになった。2つ折りケータイはいつしか「ガラケー」と揶揄されるようになる。
こうしてスマートフォンとモバイルインターネットへの興味は、これらのコモディティ化とともに薄れていった。
そんな中、サンフランシスコへの出張中に1台のクルマに出会う。それは「テスラ」という電気自動車であった。以前リーフを借りたこともあり、最初は電気自動車に懐疑的だった。そう、「ガソリンの代わりに電気で動くクルマ」としか考えてなかった。しかしテスラにはいい意味で裏切られた。大型のディスプレイや加速性能など、個々の特徴も特筆すべき点であることは間違いないが、なによりも「世界で一番スマートな(=賢い)車をつくってやるんだ」という気概に満ちあふれていた。
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しかし、冷静に検討していくにつれ、テスラは合理的な選択肢ではないのではないかと思ってきた。幅 2m もある車体は機械式駐車場はおろか、細街路でのとりまわしも厳しい。電気自動車の充電環境は、戸建て持ち家ならばまだしも、賃貸のマンションでは絶望的だ。そしてなにより高額だ。補助金があるとはいえ、1000 万円の支払いを覚悟しなくてはならない。プリウスならフルオプションで 3 台買える。とんでもない車だ。
だららこそ、あえて私は率先して買うべきだと判断した。山積するこれらの問題が解決するまでただ待つだけではいけない。「こんなに問題だらけ」だからこそ、その状況を実際に肌で感じ取り、解決への歯車を自ら回さなくてはならないと思う。それはこの 10 年間、ガラケーからスマートフォンにシフトしていく過程で感じたことと同じではないだろうか。
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かくして購入に至り、桜前線とともに私のテスラは納車された。最高にクールだが思った通り、いろいろやっかいな奴である。まさに iPhone 3G を発売日に買ったときと同じ気持ちだということに気づいた。