マイナンバー個人番号カードを街角の証明写真機で申請する
昨年(2015年)末に各世帯に郵送されたであろう、マイナンバーの通知カード。マイナンバーを会社や金融機関に提出するだけであれば、この通知カードだけで十分だが、e-Taxや住民票の発行などのサービスを受けるためには通知カードに替えて「個人番号カード」を申請し入手する必要がある。
個人番号カードの申請には顔写真が必要とのこと。顔写真を自分で用意し、申請書類とともにセンターに郵送すれば発行が受けられるが、自宅に届いたマイナンバーの案内に「証明書写真機で申請ができる」旨が記載されていた。
証明書写真機でどうやって申請できるのか気になったので、さっそくやってみようと思った。
カードは必要かどうか
マイナンバー制度の意義や問題点などについてはここでは触れないが、以下の機能に魅力を感じる人は申請すればいいと思う。
- 住民票をコンビニのコピー機で取りたい (自治体によっては今後対応のところもある)
- 本人確認時に運転免許証以外の書類をつかいたい
- e-Tax をやりたい
なお、住基カードと被る機能が多いので、既に住基カードでこれらの機能を使えているのであれば急いで個人番号カードを取得する必要はない。
対応している証明写真機
いまのところ、株式会社DNPフォトイメージングジャパン (以下DNP) が展開する証明写真機「Ki-Re-i」のうち、一部の機器が申請に対応している。
株式会社DNPフォトイメージングジャパン|Ki-Re-iお役立ちサイト|マイナンバーカードの顔写真はKi-Re-iで納得の一枚を!
マイナンバーに対応したサイズの写真はどの証明写真機でも撮影できるが、申請システムにつながっている証明写真機は一部に限られる。以下のサイトから対応している証明写真機の設置箇所を検索できる。
株式会社DNPフォトイメージングジャパン|設置場所検索|プリントラッシュ・プリントラッシュフォトブック・証明写真機Ki-Re-i
ビックカメラには大抵あるようである。今回はビックカメラ池袋西口店に向かった。
撮影の流れ
筐体に「マイナンバーその場で申請完了」と大きな宣伝が掲載されていた。
ブース内。タッチパネル式の操作盤にマイナンバーのメニューがあるのと、交付申請書を読み取るためのQRコードリーダーが取り付けられているのが印象的。早速マイナンバーのメニューを選択する。
今回やってみたい「写真機から直接申請手続きをする」以外に、郵送申請用にプリントアウトをする機能、またWeb申請のためにスマートフォンに画像を転送する機能も用意されている。今回は一番左を選択。
およそ証明写真機とは思わせないほど大量の文章を読ませる。。。
やっと QR コード読み取りの案内がでた。
読み取った番号が表示されれば OK
なんと、エフェクトは追加料金だ!
ここで撮影。はいチーズ!
高さや左右のバランスはここで弄れるので、あまり気にする必要はなかった。
+200円のオプション、これだけだった。。。
ここで確認を経て、アップロードが開始される。(2分ぐらい待たされた)
写真がまったくもらえないわけではなく、撮られた写真は「個人番号カード交付申請確認証」という名前の紙で発行された。
まとめ
「写真をハサミで切り取る」「封筒に入れてポストに入れる」みたいな作業がいらず、手軽に申請できて完成度の高さを感じた。ただ、マイナンバーの申請にしか使えない撮影に700円〜900円も自己負担させられるのは厳しい気がする。
将来 e-Tax をする予定のひとは今のうちに申請しておこう。
電力自由化がはじまると安い電気料金プランが選べなくなるという話
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
さて、年明けとともに話題となっている「電力自由化」の話。セット割で安くなる、とかポイントがつくようになるなど、電力会社を変えることでお得なプランが選べるように宣伝されているが、そうでもないケースがあるという話。むしろ電力自由化以降、一部の割安なプランに申し込めなくなるので注意が必要だ。
電力自由化以前
電力自由化以前 (つまり 2016年3月31日まで) では、地域の電力会社(東京電力、関西電力など)が用意する以下のメニューから選択することができた。
- 従量電灯 (地域や容量により "従量電灯A/B/C" の名前がついている。いつ使っても同じ料金。)
- 夜間割引契約 (夜間の 8 〜 12 時間程度割安な代わりに、それ以外の時間が割高になるプラン)
- ピークシフト契約 (夜間に加え、夏の昼間も割高になるプラン)
- 深夜割引契約 (夜間割引よりさらに割安なプラン。電気温水器やオール電化など一定の設備を備えてないと契約できない)
(電力会社ごと割引対象となる時間帯、割引/割増率、基本料金の設計、設備条件などが異なる)
「特に料金プランなんか選んだ記憶がない」という人は、引越と同時に「従量電灯」に契約しているはずだ。(料金プランについて説明を受けた記憶がない人がほとんどだと思う)
筆者は現在東京電力の「半日お得プラン」を選んでいる。
筆者の世帯 (東京都, 2人暮らし, 共働き, 平日日中勤務) では従量電灯Bに比べて毎月1,000 〜 2,000 円ぐらい安くなる。参考までに 12 月の請求額は以下の通り。
従量電灯 B | 半日お得プラン | |
---|---|---|
基本料金 (60A) | 1,684 | 1,296 |
9時〜21時: 170kWh | 4,244 | 5,771 |
21時〜9時: 230kWh | 5,743 | 2,895 |
合計 | 11,673 | 9,962 |
(税、燃料調整費、再エネ負担金などは含んでいない)
電力自由化でどうなるか
電力自由化以降も夜の利用が割安になるプランが用意されているが、新しいプランでは夜間の値引率が非常に悪くなっている。
従量電灯B | 半日お得プラン | スタンダードS | 夜トク12 | |
---|---|---|---|---|
基本料金 (60A) | 1685 | 1296 | 1685 | 1264 |
昼間料金 (kWh) | 29.93 | 43.71 | 30.02 | 33.76 |
夜間料金 (kWh) | - | 12.59 | - | 22.55 |
(夜トク12は30分単位の平均使用電力で基本料金が決まるので、基本料金は幾分安くなる可能性がある)
そして、電力自由化がはじまる 2016年4月以降は 半日お得プランなどのメニューの新規申込みができなくなる とアナウンスされている。つまり、割安なプランは今のうちに申し込む必要がある。(自由化前に申し込めば、引越や建て直しをするまで同じプランを継続利用できる)
なお、新料金プランで開始されるポイントの付与は 1000円あたり 5 ポイント。僅か 0.5% しか還元されない。
電力自由化にともなう実例
夜間の利用が多い場合、夜間にシフトできる場合
平日の日中 (9時から21時) の大半が不在となる場合、半日お得プランなどのメニューに今すぐ申し込むべき。直近の電気料金の請求書 (お知らせ) を手元に用意し、現在の電力会社 (東京電力など) に電話することで、料金プランの相談や変更手続きができる。
東京電力の場合、スマートメーターを導入すると30分単位の電力使用量を でんき家計簿 のサイトで確認できるようになる。
スマートメーターへの交換は随時行っているが、まだ通常のメーターが設置されている場合、「電力メーター情報発信サービス」に申し込むとスマートメーターにすぐ交換してくれる。
電力メーター情報発信サービス(Bルートサービス)について|東京電力
スマートメーターに切り替わると、以下のように時間帯ごとの利用状況が確認できるようになる。
日中はかなり節電できている。もう30分、家事の時間をシフトできるとさらによさそうだ。
オール電化、電気自動車、サーバーなどを設置している場合
オール電化や電気自動車のように大出力を必要とする機器を設置している場合、サーバーなど1日中負荷の変動がない機器を設置している場合、半日お得プランなどを選択したほうが安いことが多い。
電気給湯器や電気自動車のタイマー充電のように深夜に負荷がかかる機器に対して割安なのはもちろんのこと、24時間負荷が均一な機器に対しても半日お得プランのほうが以下のように割安である。
- 従量電灯B: 29.93 * 24 = 718.32 円
- 半日お得プラン: 43.7112+12.5912 = 675.6 円
(1000Wの機器を24時間連続利用した場合)
また、浴室乾燥機やドラム式洗濯機、食器洗い乾燥機などタイマー運転ができるものは夜に負荷を移動できるので、こういったものの消費が大きい場合も半日お得プランなどを選択したほうがよいだろう。
それでもよくわからない場合
エネチェンジなどのサイトで試算をしてみよう。
私の場合、半日お得プランは従量電灯BCに比べ、3年間で10万円以上安いようだ。
電力自由化後のプランで算出すると以下の様になった。
筆者のプランでは "年間 -24,353 円おトク" と出てきた。マイナス、つまり新しいプランでは大幅に高くなるということを示している。なかなかに渋い結果である。
まとめ
繰り返しになるが 4 月以降に半日お得プランに申し込むことはできなくなる。また、新しい電力事業者でも深夜料金が10円台というプランは用意されていない。今後、犬やクマ、金太郎やキノコなどがどんなに電力のセット割を宣伝してこようとも、今の契約を手放すと元のプランに戻せないことを頭にいれておいてほしい。
新しい電力事業者が提供するセットプランなどで安くなるケースもあるかもしれないが、安い深夜帯の料金が選べなくなるのは、明確なデメリットといえよう。
つまり、独り暮らし世帯や共働き世帯など日中は家をあけることが多い世帯は、今のうち (3/31まで) に割安なメニューへの切り替えを検討するとよいだろう。
株式会社ビットセラーの取締役を退任した
2015年10月31日をもって、私 shao1555 こと澤田はビットセラーの取締役を退任した。またビットセラーはnanapi, スケールアウトと合併し、11月1日より Supership 株式会社として新たなスタートを切った。Supershipでは役員ではないが、メンバーの一員として引き続き関わっていく。
株式会社スケールアウト、株式会社nanapiおよび株式会社ビットセラーの3社合併に関するお知らせ
創業から今日に至るまで
身の上話をする前に、私とビットセラーのこれまでをまとめておく。
ビットセラーは2011年に代表取締役(当時)の川村亮介氏とともに設立したスマートフォンサービスの会社。創業から吸収合併まで、「ビットセラーのはじまりからおわりまで」取締役として職務にあたってきた。
前職は株式会社アトランティスで広告配信システムのAdLantisの開発をサービス初期から担当し、2011年にはグリーに買収された。2011年はスマートフォンが本格的に立ち上がった年であったとともに、東日本大震災が発生し、津波で街ごと流されるという痛ましい出来事が深く心に刻まれる年となった。
スマートフォンでより多くの写真が撮られ、それが人々のかけがえのない思い出となる将来を見越し、「スマートフォンNo.1のカメラ」と「大切な写真をいつまでも管理・保管できるサービス」の2つを手がけるべく創業したのがビットセラーである。
Android のカメラアプリ FxCamera を開発した山下盛史氏がCTOとして参加し、FxCamera を事業展開するとともに、写真の保管サービスの開発にもあたったが、FxCamera は Instagramの勢いにおされて開発を終了し、また写真の保管サービスは採算の確保が困難であるなどの理由からリリースを断念した。
その後、KDDIに買収され Syn.構想 の一端を技術面で担うとともに、ランキングサービス Qrank (提供終了済) を新たに開発し、新たなサービスの可能性を探っていた。
このたび、Syn.構想をはじめ、KDDIの傘下が手がけるインターネット事業を盤石なものとすべく、nanapi、スケールアウト、ビットセラーの3社と合併しSupershipとして一歩を踏み出すこととなり、そのタイミングで私は取締役を退任することとなった。
うまくいかなかったけど死ななかった
創業から今日にいたるまで、当初描いていたゴールを達成することはできなかった。ありていにいえば「うまくいかなかった」ということになる。ビットセラーに期待を寄せてチームにジョインしてくれた社員・アルバイト・インターンの皆様、プロダクトを愛してくださったユーザーの皆様、経営陣の想いをチャンスに変えてくれた投資家の皆様をはじめ、ビットセラーを応援してくれたすべての方に感謝の意を表するとともに、期待に添えなかったことを率直に謝るほかない。
他方、吸収合併されるその日まで会社が存続できた、すなわち会社が潰れなかったことは非常に貴重な経験となった。ビットセラーがどんな苦境に陥ろうとも、我々のチーム、ユーザー、投資家をはじめ、多くの方がビットセラーのことを見捨てず、打開策を粘り強く考え、応援しつづけてくれた。そうした支えをもとに会社を守り切った経験は、次の窮地を自ら切り開くための鍵となるはずだ。
取締役として何ができたのか
チームのとりまとめやアウトプットの整理、適時の正しい決断など、取締役が果たすべき役割の多くで力不足であった。ただ、チームひとりひとりの視野を広げることには貢献できたのではないかと思っている。ビットセラーのチームメンバーはみな、各自の専門分野だけでなく、インターネットビジネス、エンジニアリング、デザイン、組織論、はては社会情勢や国際金融に至るまで、業務への直接的な関係の大小を問わず、実に幅広い分野に興味と関心を持ち、日々の行動や決断に生かしている。前節で触れた「会社が潰れなかった」理由のひとつでもあろう。この文化がチームひとりひとりの人生の充実に少しでも寄与できるのであれば、これほど嬉しいことはない。
次はなにをしたいか
スマートフォンが一通り行き渡り、ユーザーの可処分時間を十二分に食い尽くすに足りるコンテンツが揃った今日は、インターネット界隈のひとつの節目であると思っている。可処分時間を奪い合うビジネスは踊り場に来ているので、その外側、すなわち社会や産業、趣味や生活のステージで勝負したい。ただ、これまで手がけてきたインターネットビジネスの延長線上にこれらあるかというと、少し毛色が違う。勝負の仕方も大きく変わるはずだ。自分が向き合いたいテーマをこれから1年ぐらいかけて探していきたい。
次の仕事の仕方に「起業したい」「経営者になりたい」というこだわりがあるわけではなく、自分の役割が勝負する上で腑に落ちればそれでよい。なので、「Supershipをいずれ辞めて起業します」という判断は今はない。むしろ幸運なことに、SupershipはKDDIの子会社であり、携帯電話や情報通信での大きなシェアを足がかりに社会や産業、趣味や生活のステージへ踏み込めるポテンシャルを秘めている。
エキサイティングで勝負に適した環境を追い求める。それが自分の次のステージを選ぶときの判断軸だ。
今後に向けて
Supershipでは経営者でなくなり、裁量労働制が適用されるようになる。自分のパフォーマンスを高められるように仕事の時間をコントロールする責任を伴う。
前述の通り、自分の強みは視野の広さだと思っている。これを維持するためには、多くの人と会い、世界中を訪問し、見聞を広げ続けていく必要がある。そこにかける時間を確保するためにも、普段の仕事には最高の効率が必要になる。工夫の積み重ねで無駄を徹底的に省きつつ品質を維持し、次の目標を達成するために必要な時間をひねり出す。また身体的パフォーマンスも最大化するために運動時間を確保し健康的な生活を送る。こうした筋肉質な時間の使い方を会得するのが第一の目標だ。
アウトプットの不得手もこの1年で克服したい。しばらく放置してしまったサークル活動を再開し、稚拙ながらも技術書を次の冬コミに出すところから始めようと思う。
この機会に面白い話はどんどん聞きにいきたい。あるいは自分の経験が何かの問題解決になるのであれば話にいきたい。さみしがり屋なのでメシのお誘いなど、お気軽に連絡をお待ちしております。
むすびに
創業から今日までの4年間、自由にやらせてもらうことができた。これもひとえに多くの方が支えてくれたことに他ならない。社員、役員、投資家、アルバイト、インターンをはじめ、ビットセラーを支えてくれた皆様、ビットセラーのプロダクトを愛用してくださった世界中の皆様、公私を問わず交流し励ましてくれた友人の皆様、会社を投げ出しそうになってもそっと後押ししてくれた最愛の妻、そのすべてに感謝の意をここに表するとともに、至らなかった点をお詫びさせていただきたい。
これからもよろしくお願いします。
携帯電話の「定期的に機種変更するユーザを優遇」する施策は悪ではない
安倍首相の鶴の一声でにわかに騒がしくなってきた「携帯電話の料金引き下げ」の話題。
記事によると「定期的に機種変更・MNPするユーザと、同じキャリア・端末で使い続けるユーザの間の不公平感の解消」「MVNOの利活用」などで月額の負担額をおさえようという論調で議論が進んでいるようだ。
なお、私は大手通信キャリアと資本関係がある会社に籍を置くものであるが、この記事は所属する団体を代表する意見ではなく、あくまで一個人として考えている内容であることを予めお断りする。
TL;DR
私の言いたいことをさきにまとめておくと以下の通りになる。
- スマートフォンのように進化が著しく、高度な保守が必要となる通信機器は、一定の買い換えを促した方が全体的なメリットが大きい
- 利用者の負担額の軽減には安価な機種の導入を進めるべき
- 機器の更新や保守をまとめて引き受ける代わりに高額な通信キャリアと、それらのサービスが不要な代わりに低額な通信キャリアという線引きを明確にすべき
以下、これらの内容について説明していく。
スマートフォンのスペックは底上げする必要がある
スマートフォンは車やテレビなどと異なり、短期間でスペックがグンと上がる。
iPhone 6s - Technology - Apple
iPhone 6s は1年で7割も性能が上がる。4年前の端末と比較すると5倍、 6年前と比較すると15倍にも相当する。また、通信速度は (日本での) 初代 iPhone が 3.6Mbps だったのに対し、今は 300Mbps と 83倍にもなっている。
その高いスペックは、ハイエンドなゲームのためだけに存在するわけではない。
限られた電波帯域をうまく使うために効率の良い通信方法を利用したり、また効率がよい圧縮方式を用いて動画や写真の転送量 (=パケット料) を節約したりするためには、高いスペックの端末が必要となる。
また、悪意をもった人は脆弱なマシンを狙う。古いソフトウェアや暗号化方式を用いた端末は残念ながら、恰好の餌食となってしまう。利用者により適切にアップデートやパッチの適用ができればいいが、あらゆるソフトウェアやサービスとの互換性を考えながら適切にアップデートを施せるユーザはどれだけいるのだろうか。
インターネットや無線区間をみんなで共有している以上、旧世代の端末やソフトウェアが多く利用されることは、全体的な効率を下げることにつながる。高速道路に原付や1960年代の小型車が多く流入したら渋滞が頻発することは容易に想像できるだろう。
ユーザによる端末の買い換えを促す仕組みはやはり重要だ。
機種変更の負担を下げるには
機種変更を促すためには、費用と手間の2つの問題をクリアしなくてはいけない。
日本の大手通信キャリアでは高額な端末を、利用者の通信料金を原資に割り引きするという制度を主にとりつつけてきた。短期解約で損をしないよう端末の本体価格を思いっきり引き上げ、長期利用時にはその負担が軽減されるような仕組みでユーザを拘束している。
これに対し、MVNOでは中国製の安価な端末を中心に揃えている。これらは「型落ち」ではなく、「部材のコストなどを下げた格安機」であり、最新の OS が動き、効率の良い通信方式が使えるようになっている。(例外もあるが)
大手通信キャリアは型落ち機を特売の目玉にするのではなく、このような「格安機」を取扱うことでユーザの負担を抑えるべきだと思う。
もうひとつが手間の問題。機種変更のために混雑した携帯電話屋に向かい、契約から移行作業まで一通り終わると1日潰れる。この負担だ。
これに関して、体力のある大手キャリアはレンタル制度を導入すべきではないだろうか。Android 6.0 から設定情報をクラウドにバックアップできるようになるなど、データの移行を簡便にする技術的要素は整いはじめてきた。端末が2年ごとに自宅に届き、あたらしい端末の電源をつけるだけですぐに使えるようにするなど、機種変更の方法を圧倒的に簡単にする必要がある。(Kindleはアカウント設定済みの状態で届いて直ちに読書ができる。こうなってほしい)
大手キャリアは高額、MVNOは格安?
大手キャリアはハイエンド機種をショップで販売し、高額な基本料金で快適な通信ができる。一方のMVNOは格安機種をインターネットで販売し、安い代わりに混雑時はパフォーマンスが低下する。これが現状の大手キャリアとMVNOの選択だ。しかし「ユーザサポート」を念頭におくと、以下の様な選択肢を用意すべきではないのだろうか。
- サポートは自己責任の代わりに、機種や通信品質、オプションサービスを自由に組み合わせられる (玄人向け)
- 現行の大手キャリア並のサポートで、買う機種によって基本料金が変動する (大衆向け)
- 端末のレンタル制、クラウドによる一括管理などでユーザの手間を極限まで下げる代わりに、サポート費用をそれなりにとる (デジタルデバイド対策)
iPhoneを毎年買い換えるようなヘビーユーザー、あるいは難解な料金プランをパズルのように組み合わせて維持計画をきちんとひけるような人には今のMVNOのようなスタイルの延長が適正だと思う。
そこまではいかないがスマホのことはある程度わかり、定期的に機種変更ができるような人に対しては機種に応じた料金をユーザに負担させる。安い機種を選択すると月に数千円下がるぐらいが理想ではなかろうか。
もっとも消極的なユーザ層に対しては端末を定期的に発送する、アプリのインストールをキャリアが管理するなど、サポートを手厚くする代わりに一定の対価をとる (或いは他のスペックを下げて釣り合わせる) 必要があるだろう。
まとめ
通信環境の底上げは国のICT戦略上も重要なもので、「古い機種を使い続ければ得」な制度を設計すると、ITの成長は鈍化してしまうと思う。技術の新陳代謝を維持するとともに、ユーザが必要とするサポートレベルが多様化しているという点をふまえ、丁寧な提言をまとめてほしいと切に願っている。
自転車保険を比較してたら自転車保険は不要だったこということがわかった
健康づくりのためにロードバイクを買った。
ロードバイクは速度が出るし、また運転する時間も長くなりそうなので保険を検討することにした。
はじめに
以下の条件で保険を探す
- 相手方への賠償は、最悪のケースでも対応できるよう1億円以上の保障額にしたい
- 賠償事故時には示談を代行してほしい
- 自分に対する保障はあってもなくてもいい (自分が死んだり、入院することになったときに支払われる保険金)
自分に対する保障は、高額療養費制度 があって、1ヶ月入院しても 10 万円ぐらいの自己負担で済むはずなので、それでも必要か考えた方がいい。
各社の保険商品
保険会社 | 商品名 | 賠償責任補償 | 示談代行 | 入院保険金(1日) | 保険料(年払い) |
---|---|---|---|---|---|
DeNAトラベル | 自転車の責任保険 基本コース | 1億円(海外可否は不明) | あり | 3000円 | 3600円 |
au損保 | ケガの保険Bycle ブロンズコース | 1億円(海外もOK) | あり | 4000円 | 4150円 |
三井住友海上 | ネットde保険@さいくる Bコース | 1億円(国内のみ) | あり | 4490円 | 6000円 |
チューリッヒ | スーパー傷害保険Lite | 5000万円(国内のみ) | あり | 5000円 | 3750円 |
いまは示談代行は標準的についていて、保険料は年額3600円から6000円ぐらい。金額的にはエアーリンクが安いけど、約款が Web サイトに公開されてなかったりするのがちょっと不安。
そういえば「個人賠償責任保険」ってもう契約してなかったっけ
手元の保険証書をさがしてみると
これらの保険に入っていた。あとはクレジットカードがいろいろある。 自転車で他者に損害を与えた場合、これらについてくる(つけられる)「個人賠償責任保険」でカバーできる
個人賠償責任保険の被保険者は「生計を共にする同居の親族」となっています。
補償の対象となる事故例は、次のとおりです。
(中略)
- 自転車で走行中に歩行者とぶつかり後遺障害を負わせた。
しかし、この「個人賠償責任保険」が標準でついてくることはあまりないようで、手元の保険証券にもその記載はなかった。追加の申込みが必要とのこと。
個人賠償責任保険のお値段は
都民共済ではオプションが用意されてなかった。また三井住友海上はオンラインで見積がとれなかった。他の保険会社やクレジットカードのものを調べてみよう。
販売元 | 商品名 | 賠償責任補償 | 示談代行 | 保険料 (年払い) |
---|---|---|---|---|
JCB | JCB トッピング保険 日常賠償プラン | 1億円(海外もOK) | あり | 1560円 |
三井住友カード | ポケット保険 | 1億円(海外もOK) | あり | 1680円 |
セゾン自動車火災保険 | おとなの自動車保険 個人賠償責任特約 | 無制限(海外もOK) | あり | 1570円 |
ソニー損保 | おりても特約 | 1億円(海外もOK) | あり | 3760円 |
ソニー損保以外どれも 2000 円以下だ。ソニー損保は複数の特約がセットになっていて、自転車事故時に入院日額5000円が支払われる。おとなの自動車保険の無制限は謎の安心感がある。
「自転車保険」の商品とくらべ、概ね半額以下の模様。
まとめ
自転車保険は「医療の保険」と「個人賠償責任保険」がセットになったもの。検討する際に、自分が加入している保険にそれらがついてないか、またオプションでセットできないかをまず確認しよう。 "xx保険 個人賠償責任保険" とかで検索すればわかるはず。
賃貸に住んでいるひとは大抵、契約時に火災保険に入らされてると思うので、その保険証書をひっぱってくるとオプションがある可能性が高い。また、持っているクレジットカード会社が個人賠償責任保険を扱っている可能性があるので、それも調べてみるとよい。
私の場合、医療保険は都民共済でまかなえるので、 JCB トッピング保険 日常賠償プラン に入ることで用が足りる。JCBカード侮れない。
Qrio を買った
スマートフォンで家の鍵を開け閉めできるようになる Qrio を買った。
公式サイトによると
- スマホアプリで鍵を開け閉めできるようになる
- 開閉の権限を他のユーザに与えることができる (鍵のシェア)
という特徴がある。同様の商品はKEVOなどが先行しているが、取り付けに穴を空ける必要があったり、(古めの) 集合住宅でよく見る箱式の錠では厳しかったりする。
85RAという大変イケてない錠前。段差があるので適合する機種はほとんどない。果たして無事につくのだろうか。
開封から取り付けまで
化粧箱に入った Qrio に対面。
小さなリファレンスカードとオーナー登録カードが入っている。後述するが、このオーナー登録カードがセキュリティ上重要なものとなっている。鍵を増やしたりするにはこれを使うので、管理に負担がかかってあまりよくない。
付属の説明書。どことなくソニー感がするが、この会社は WiL とソニーの合弁会社なので、ソニーが製造において全面的にサポートをしているのだと思う。
付属品。鍵の大きさに適合するように何種類かアダプタがついている。あとさきほど「ソニーが全面的にサポートをしている」と言ったが、電池はなぜかパナソニック製。
取り付け方法はアプリで案内される。
付属のアダプタで高さをあわせる。アダプタを2つ重ねてネジで止めると85RAの大きな段差をクリアできる。
両面テープで貼り付けて取り付け完了。サムターンは回るがちょっと堅くて心配。。。
嫌な予感が的中。RA85の場合、上からのマージンが大きすぎてサーボモーターと軸がずれる。その結果、回転するトルクが適切に与えられず、解錠操作ができなかった。正解は以下の様に横付け。
アプリから解錠操作のテストが行われる。お、開いた!
外からも動作確認して完了。
所感
アプリを起動しての鍵の開け閉めはちょっと面倒。Bluetooth での捕捉がちょっと遅いこともあり、鍵を出したほうが速いことがほとんど。自動車のキーレスエントリーのような使い勝手を期待してはいけない。
一方「解錠後、一定時間で施錠してくれる」という機能があり、これが思った以上に便利。要にはホテルのオートロックと同じで、出かけるときなどに勝手に鍵をしめてくれるという感じで使える。締め忘れて嫁に怒られることもなくなった。出かけるときのほうが慌ただしいことが殆どなので、鍵締めの操作がなくなることのメリットは大きかった。
ただ、宅配便の応対などでドアを開けっ放しにしてても施錠操作が行われてしまうし、では自動施錠の時間を長くすればいいかというと、家を出てから鍵をかけるまでの時間が長いのも精神的にあまりよくない。ドアの開閉検知がついて「ドアが締まってから x 秒で施錠される」みたいな実装になるとよいと思う。
スマホで鍵が開くようになったとはいえ、スマホと鍵の両方を忘れて外に出て締め出されてしまう可能性もある。インターネット経由で解錠できる機能があれば電話などで連絡して家族に外から空けてもらえそうだが、いまのところ遠方から解錠する機能はない。外出しようとサムターンに手をかけたとき、ペアリングしたスマホが周辺にない場合「鍵持ってないよ!!」と教えてくれる機能があるとよさそう。
自分は該当しないのだが、AirBnBで人に家を貸していたり、ベビーシッターを雇っている場合など、鍵を貸すシーンが多いひとにもよさそう。ソリューション系では Akerun が頑張っていて、将来面白くなりそうな分野だ。
実家の鍵など利用頻度が少ないが持ち歩いている鍵があるので、そういうところが Qrio になると幸せそうな感じがする。
tado° 買った
エアコンの制御がインターネットごしにできる tado° Smart AC Control を買った。
公式サイトの図解でわかると思うが、この商品の特徴は
- 赤外線リモコンで操作できるエアコンと組み合わせ
- 予め決めたスケジュール、部屋の温度や在室/不在情報にあわせて
- エアコンを自動的に制御する
というもので、売り文句通りに動くのであれば空調の操作が全自動化されるということになる。エアコンを付けっぱなしにして出かけてしまうことが多いので導入してみた。
開封〜利用まで
6/24 に注文し、およそ3週間で届いた。値段は送料込みで $214.00 (≒26,512円) に輸入消費税が別途かかった。
内容物は本体、microUSB ケーブル、USB 電源アダプタといくつかの国際プラグ (日本仕様も入ってた) 、両面テープだった。
本体の裏は microUSB と取り回し用の溝、あとシリアルと PIN (アクティベーション時に使うもの、写真では加工してある) が記載されている。
iTunesストアでアプリをダウンロードして、画面の指示に従って進めていく (よくあるパターン)
やたら多くのメーカーに対応している。ちなみに家のエアコンは (Panasonicブランドに統一される前の) National 製だが、結論から言うと Panasonic を選んだ方が良好だった。
メーカーを選ぶと、本体がエアコンに何パターンか赤外線の信号を送る。パターン毎に反応したかを答える。
家族を招待することもできる。「全員がいなくなるとエアコンを切る」という機能があるので、スマホを持っている家族がいる場合は全員招待したほうがいい。
設定が終わると、室温やエアコンの運転状況が表示される。外気温はセンサーをつけてないが、設定時に自宅の詳細な住所を入力したので、気象データが使われているのだろう。
起きている時間、寝ている時間、外出中それぞれのプロファイルで目標温度の設定ができる。これは居間に設置したエアコンなので就寝時はオフにしているが、寝室に設置した場合は逆に就寝時にオンにすればいいだろう。
プロファイルが適用される時間帯を指定できる。この時間帯に限らず、家にいない場合は外出中のプロファイルが適用される。
外出するとオフになる機能も確認できたが、外出から停止まで自転車で5分程度かかった。動作時に特にお知らせはなかったので、アプリで開いて状況を確認した。
その他の写真は Flickr に上げた。
動作風景
うむ、よい。
所感
- 思った以上に普通に動作している。
- エアコン本体で温度設定をするよりも冷えすぎず、ちょうどいい温度が維持できている。
- 在室状況でオンオフされる機能はフィードバックがなくてよくわからない。慣れるまではプッシュとかでお知らせしてほしい。
- 「IFTTT や API がある」みたいな記事があったが、まだ公開されてないっぽい。いろいろ hack してみたかったので、今後に期待。
- 今後 HomeKit や BLE にも対応するとのこと。これも期待。
あと、設定後にアクセスポイント情報が消えてしまい、tado° 本体がインターネットにつながらなくなってしまった (tado°が設定用の SSID を吐いている状態) 。こうなるとアプリから見えず、初期設定画面にもならない。ドキュメントやFAQでも対処法が見つからず、仕方なくtado°の SSID につなぎ、デフォルトゲートウェイを Web ブラウザで開いてみた (http://192.168.1.1/) ら、接続先の SSID とパスワードを設定できる画面にたどり着き、なんとか復旧することができたので、もし同じ状況に陥ったひとがいれば参考にしていただきたい。
気に入ったので、寝室用にもう1台注文した。